2019.10.19 『 83 』

誰にでも思い入れのある数字があると思う。83・・・ この数字は何を意味するか? この数字に思い入れのある人はいるか? 中学生の頃、素数というものを数学で学んだ。1より大きく、約数が1とその数字そのものしかなく、他の数字で割り切れない数字のことである。83 はその素数である。今晩からプロ野球は日本一を決める日本シリーズが始まる。ジャイアンツの原監督の背番号は 83 である。自身の現役時代の背番号 8と尊敬する長嶋茂雄名誉監督の現役時代の背番号 3を合わせた番号らしい。野球少年であった私は、小学生時代(3年間仙台市) 長嶋茂雄に憧れて背番号 3のユニフォームを着て野球にいそしんでいた。しかしながら、試合になるとピッチャーかショートを守ることが殆どで、試合用のユニフォームでは好きな背番号 3を付けることは一度もなく、ピッチャーの 1かショートの 6を付けて試合に出ていた。当時、ジャイアンツが年1回、仙台に試合に来ることがあった。友人と二人で当時の宮城県営球場にジャイアンツ戦を観戦に行き、試合終了とともに、塀を乗り越えて、守備(サード)から駆け足でベンチに引き返そうとする長嶋選手を目掛けて猛ダッシュで駆け寄った。ほんの一瞬のことではあったが、長嶋選手の左肩をタッチすることができ、その日は手を洗うこともできず凄い興奮の中、床に就いたことを覚えている。 18年?ほど前、幼い二人の娘と家内とで軽井沢にスキーに出かけた。ホテルのエレベーターに乗ってゲレンデに向かおうとしていた時、『 すいません 』 と男性の声。閉まりかけたドアを開け、『 どうぞ 』とその男性に向かって返答すると、なんと 原監督親子が乗り込んできた。唯々 『 は・ら・さんですか?!』 としか発することができず、原監督も 『 え~ 』 というだけの一瞬の空間を味わったことがある。8 と 3 との直接的な接触の二幕だった。 前置きはこれくらいにして、毎日診察していると すごく 83 が気になる。83 歳のことである。女性が 83歳になると、かなり多数の人は急に体力がなくなり、『 しんどい、しんどい病 』 が始まる。多数の検査をしても特に異常もないが、兎に角 『 しんどい、しんどい、なんでですか?』 を毎回連発される。クリニックも18年目になると、初年度 65歳であった患者さんも、今では 83歳になっておられる。『 あんなに元気だったのに、歳を取られましたね! お尻や太ももの筋肉がやせ細ってしまって、立ち上がるのも、歩くのも大変になってきてますね。下半身の筋肉がげっそりして来ているので上半身を支えられなくなってきています。自分の体を思うように動かしたり支えたりすることができなくなってきているのでしんどく感じているのだと思います。』 70歳台にジムにでも通って筋肉を鍛えておかないと 80歳台になったら、このようにしんどくなってしまう。それも 83 歳を超えてくると必発?のように感じる。比較的男性は筋肉が女性より多いので、『 しんどい、しんどい 病 』 は少ない。世界平均寿命 71歳であることを考えると厳しいようではあるが、仕方のないことのように思えるのだが。


2019.10.11 五十歩百歩

神戸市須磨区の小学校で先輩教師が若い後輩教師をいじめている事案が連日テレビで放映され、相変わらずテレビの司会者や何の資格もないコメンテーターがこの不謹慎な大バカ教師どもを罵っている。挙句の果てに、教師を辞めさせるべきであるなどと公共電波を使って自説を繰り広げている。以前、このブログで記した正に『 不謹慎狩り 』 を行っているのである。個人的には彼らと大きな意見の相違はないが、公共の電波を使って多くのお茶の間の人たちに発信することではなく、彼らにその権利はないはずである。大バカ教師の行った不謹慎な行動(事実)そのものを伝えることがテレビの役目であって、その人間の処罰まで発信できるものではない。精々、その小学校のPTAを含む関係者と学校に税金を払っている神戸市民、神戸市がこの事案に口出しすることは可能かと思うが、それ以外の人間が深入りするのは正に 『 不謹慎狩り 』 である。本当に、不快である。また、面白いことに、『 子供を教える立場の人間(教師)が、これでは子供を教えれない 』 なんて偉そうに このテレビのコメンテーターは言っているが、あなたたちもそんなに立派な人間なのと問いたい。 連日の診察で、アルコール性肝障害の患者さんには毎回減酒するように指導しているが、ついつい吞んでしまうと言い訳をし、糖尿病のコントロールの悪い患者さんには、間食を減らし、食事量を減量するように指導しても、つい美味しいお菓子を食べてしまうとか、外食が多かったとか毎回言い訳ばかりしている。いい加減にしろよ! と言いたくなるが、『 頑張って努力してくださいね!』 なんて言う自分が情けなく、時に皮肉っぽく 『 子供には、おやつを制限したり、門限を決めたり、ゲームをする時間を制限したりするのに、貴方は大人であるにもかかわらず自分で守れていない。子供に対して、ずるくありませんか!』 と言ってやることがある。こんな患者さんもこのテレビを観て、コメンテーターと同じことを言ってるんでしょうね。正に、五十歩百歩ですよ。

 


2019.7.20 ポケットベル

かつて一世風靡したポケットベル(ポケベル)が、今年9月に完全にその通信サービスが終了となるとのニュースを聞いて驚いた。携帯、メールといった当り前のこの時代にまだ、ポケベルが生き残っていたことと、それを利用している人が1500名ほどいるといった事実に驚きである。救急疾患を扱う循環器医としてはかつて必需品であった懐かしい思い出がある。24時間、365日,、風呂に入るときはドアの横に、眠るときは枕元に、それ以外は常に携行するといった習慣をつけ、外出する時や夜中にはいつポケベルが鳴るのかと不快な緊張感を持った生活が続いていた。今の携帯と違って直ぐに会話ができるわけでなく、相手(病院)から突然呼び出され、昼ならまだしも真夜中ともなるとその『 ピー、ピー 』といった音が家中に響き渡り、目覚まし時計以上に敏感に起こされ、すぐさま病院へ確認の電話を入れて要件を確認するといった日々である。心筋梗塞の患者(急患)が運ばれてきた場合が圧倒的に多く、当直医からの要請であり、真夜中に車を走らせてカテーテル治療(インターベンション)目的に駆けつけることが殆どであった。自分のみならず、大きなポケベルの音で家族も一緒に目覚めさせてしまう日々であった。携帯電話の無い時代であるため、高速道路を運転している時なら、一番近い出口を降りて、公衆電話を探し、病院へ確認の電話を入れることになる。また、外食中などは、店の外の公衆電話を探したりと、容赦なく鳴り響くポケベルの音に、文句も言えずこれが当たり前であると納得していた当時の医師の一人であった。今や、どこに居ても双方向通話ができる携帯の時代が羨ましくも思える。医師のプライべートだの、働き過ぎだのと言っておれる時代ではなく、倒れる者は敗北者の時代であった。先の『 嶋の大ばあちゃん 』でも出てきたが、私が関西労災病院で勤務していた時は、大阪労災病院で勤務していた時代以上に急患が多く、少人数の医師で治療を担当していたものだから、毎回全員集合といったルールになっていた。季節によってはほぼ毎日夜中にポケベルで起こされ、暗い夜道を宿舎(官舎)から自転車で駆け付けた思い出がある。週1日の休みに結婚したばかりの私どもは、いつポケベルがなって病院に駆けつけないといけないかもしれないとの思いで、二人で買い物に行くのも車で30分以内のところが精々で、地階での買い物(大抵は食料品)はポケベルの電波が届かないので、家内一人で買い物をし、私は駐車場で待つといった生活であった。このようなタイミングにポケベルが鳴るのもしばしばで、公衆電話を探して要件を確認後、地階で買い物をしている家内を走って呼びに行き、買い物も途中で精算させ、急いで病院に駆けつけるといった日々であった。外食中も容赦はない。注文してから食べるまでの間にポケベルがなることも何度もあった。こんな時は、お金だけ払って店を出たこともあった。希望して循環器医になったからには宿命と感じ、後に大阪労災病院のカテーテル室長になった時には、後輩たちに 『 これが循環器医の宿命、嫌ならやめろ!』 などと言ったものだった。今となれば懐かしい必需品であったポケベルではあるが、当時は憎きポケベルであった。


2019.5.19 嶋の大ばあちゃん(3)

『 先生、嶋です~』 。『 あ~、御無事でしたか 』。 平成7年1月の阪神大震災が起こった数日後のこと、嶋さんから自宅に電話があった。『 先生、頼みがあるんやけど 。地震でマンションも半壊して、住める状況でなく、娘の車でどうにか芦屋を脱出して堺に避難してきました。突然、永らく娘夫婦の家(偶然にも堺市内)で世話になるのも申し訳なくて、少し病院に入院させてもらえないですか 』 。当時、大阪労災病院では心臓リフレッシュ入院というシステムがあり、心筋梗塞の既往患者さんの外来のみでできない検査を1~2週間ほど入院してまとめて検査するシステムがあった。『 わかりました。明日、病院で婦長に相談してベッドの空きを確認して連絡します。』 翌日、事情を説明し、個室の空きに余裕があるとのことで部長、婦長の了解を得て心筋梗塞後のリフレッシュ入院目的で入院して頂くよう連絡をとった。『 悪いな、迷惑をかけます。今月いっぱいを目途に退院します 』。リフレッシュ入院目的で心臓の再チェック(種々検査)を行い問題ないことを確認できた。今でも印象深い思い出がある。着替えもさほど持って避難することもできず衣服の買い物に行きたいので外出して連れて行って欲しいと言われた。日曜日に家内と3人で病院近くの堺東の高島屋を案内した。衣服のフロアーでいくつかの品を選ばれ、対応した店員がそれらを預かってフロアーを回っていた。我々夫婦はこの二人から少し距離をおいて付き添った形になった。このフロアーだけでは目的が達せられなかったようで、店員に別のフロアーへの案内を打診し、結局は4人が揃って別階に行って買い物を継続することになった。私は心の中で 『 嶋さん、服は服でこのフロアーで精算するんですよ 』 と囁きながらお供していたが、店員も一言も発せず追従する様子が言葉では言えない杖をつきながら歩く嶋さんの迫力と凄味を感じ、そのオーラーを初めて味わった。最終的には、この店員が全てをまとめてくれた。今では外商のお得意さんが担当者に事前に連絡して購入するスタイルはあるが、一切、自分が何者であるか、地震で被災してきた者であるなどは言わず、その凄さを見せつけられた。『 この人は、やっぱり本物の凄い人だ!』 と感じた。今月いっぱいで退院しますといわれた通り、入院中に銀行の担当者が幾度と面会に来られ、家探しを頼まれていたようで、自分で設定された月末までに新たな家を決められ退院されて行かれた。何と綺麗な入院だったことかと感心させられた。その後、落ち着かれた時期に新居に招待された。


2019.4.29 嶋の大ばあちゃん(2)

退院後、毎月1回 私の外来を受診され、その後も調子の良いことを報告してもらった。『 なんで私は、心筋梗塞になったんやろ? 半年前に主人が亡くなったことが影響してるのかな?』 確かに、血圧が高いわけでもなく、コレステロールが高いわけでもなく、糖尿病があるわけでもない。『 多少、影響してるかもしれませんね 』。『 私の主人はな、凄い人やったんや。佐賀藩の鍋島家の末枝なんや。侯爵(公爵、侯爵、伯爵、子爵、男爵という区別のある華族)なので、私とは身分が違うんや。私は武家の出なので身分は下。夫婦別姓です。私は鍋島でなく嶋のままなんや。主人は、天皇家にしばしば呼ばれることもあったし、それは凄い人や。佐賀の自宅前まで鉄道(鍋島鉄道)を引いてたけど、この前、JRに寄付した。感謝状だけもらったな』。 今般、キャリアウーマンが夫婦別姓を認めるようにと運動を起こしているが、桁違いのこの人たちは既に夫婦別姓で生活をされている。こんな話が、入院中や外来でバンバン聞かされた私は腰を抜かしそうになり、これまで関わったことのない非常に貴重な世界を味わせてもらうことになった。もはや、医師と患者といった関係でなく、私なりに凄く興味をもった世界をどんどん大きくしてくれた嶋さんだった。『 嶋さん、日ごろは健康診断でも受けてましたか?』。『 毎月、芦屋病院から自宅に採血などしにきてくれる。特に異常は言われたことはなかった。私ら5人ほどで寄付して芦屋市民病院を綺麗に建て替えさせた。折角住んでいる街の病院が立派でないと。芦屋の住人は殆ど市民病院なんか行かないのよ。神戸市内の立派な病院に通ってるわ。淋しいよね 』。 どおりで、入院時に芦屋市長や市民病院長などが駆け付けたわけだ。嶋さんはメゾネットタイプの分譲マンションにご主人と住んでられた。分譲なのに管理費が月20万円と当時、寝ずの当直、休みの無い土日出勤、終わりのない日常勤務の全ての手当を足しても年収600万円に満たない嘱託医(非正規職員)の私からは驚きばかりであった。隣には清少納言の末枝の村山さん?が住んでおられ、まさに近くにある別世界であった。『 あの日、胸が痛くなったとき芦屋病院は大騒ぎ。国立循環器病センターに搬送しようか、阪大病院に搬送しようかと。しかし、誰かが、近くに循環器の立派な病院があるやないかと言って、あんたのところに運ばれたんや 』。『 あんたは給料安いんやろ!?』 と言っては、毎回私の外来の終わりごろに受診され、病院(関西労災)の屋上でエビフライやハンバーグなどの定食をご馳走になった(今ではありえない話ですね)。嶋さんからしてみれば私が孫のような存在だったのか、いろいろ気にしてもらい、新婚間がない私ども夫婦をご自宅に招いてくれたり、食事会に誘っていただいたりと関係が拡がっていった。平成5年7月、阪大医局より民間病院の心臓カテーテル治療の立て直しを依頼され、関西労災病院より転勤。1ヶ月で前年1年分の症例数をこなし8ヶ月後に古巣の大阪労災病院にカテーテル室の室長(やっと正規職員)で戻ってくることになった。この間も、嶋さんは月1回、私の勤務する病院に定期通院され、平成13年に開業してからもクリニックに通院された。・・・ (つづく)


2019.3.12 嶋の大ばあちゃん

『 間もなく、心筋梗塞の患者さんが到着します。先生が主治医になります。』 と外来の看護婦(現 看護師)さんから連絡が入った。『 どこからの紹介? 』、『 芦屋市民病院です。』 と心筋梗塞の急患が頻繁に搬送されていた関西労災病院に勤務していた平成 5 年ごろの一幕である。当時の阪神間で、カテーテル検査・治療のできる心臓救急病院は関西労災病院と兵庫医大の 2 病院だけであり、しかしその殆どは関西労災病院に紹介搬送されてきた。本拠地とする尼崎市をはじめ、伊丹市、宝塚市、西宮市、芦屋市、神戸市の一部と非常に広範囲から心筋梗塞の救急を受付けていた。グループの方針で紹介された症例は絶対に受入れを拒否しないということで、たった 6 人の医者でフル回転していた。現在であれば救急外来で診察後、すぐにカテーテル室にストレッチャーで運ばれ、治療を開始。終了後は CCUや ICUといった設備の整った集中治療室で数日継続治療をし一般病棟に移されるわけであるのだが、当時の関西労災病院は心臓外科、脳外科もかなりの手術数をこなし、術後に ICUで数日経過を診ることが多かったため、ICUのベッドは取り合いであり、また重症の交通事故や傷害による患者搬送も受入れる特救部もあった為、たった 9 床のベッドはすぐに埋まってしまう。少しでも元気であれば(経過が良ければ)その患者さんは一般病棟に追い出されることもしばしばであった。当然、一般病棟といえども、その科の空室(ベッド)がうまい具合に空いているわけでもなく、予定手術ならまだしも、心筋梗塞のような救急患者に対しては、ベッドの保証もなく、常に ICUの婦長(現 師長)や病棟の婦長にベッドを空けてもらうように交渉したものだった。内科の一般病棟が全く空きが無いときは、外科病棟や泌尿器科病棟などにも交渉することも珍しくなかった。  救急車で搬送されて来たのは70歳台の女性だった。意識はしっかりしているものの、胸が痛いと何度も訴えていた。ストレッチャーに寝たままの患者さんに向かって、私は立ったままで、いくつかの問診と心筋梗塞を示す心電図を確認し、準備の整ったカテーテル室からの連絡をもらって移動した。治療はスムーズに行うことができ、心筋梗塞のダメージも小さく、ICUでの管理も不要と判断し、消化器内科病棟のリカバリー室(詰所隣)が空いていたのでそこで引き続き治療することとした。 間もなく、狭苦しく決して綺麗とはいえない当時の病棟の待合室が騒々しくなってきた。『 看護婦さん、何 あの人だかり? 』、『 嶋さん(この救急患者さん)の関係者の方々です。芦屋の市長や太陽神戸銀行の支店長やなんだか凄い人達が来てますよ。』、『 えっ! 嶋さんって何者なの?』、 『 さあ~ 』。経過は良好で、翌日にはトイレまで歩いて行くことを許可して欲しいとか 個室の部屋に替えて欲しいとか注文が多くなってきた。『 嶋さん、治療は上手く行きましたが、まだ心臓は落ち着いていません。安静にしていないと急変して死ぬかもしれませんよ。』 その翌日もまた翌日も同じことを繰り返し、やっと希望の個室に替わる日が来たときは非常に嬉しそうにしておられた。その後も順調に回復され、無事退院の日を迎えることができた。『 嶋さん、また来月、外来でお会いしましょう。』、『 先生のお陰で命を助けてもらった。あんたは凄いな~。 でも、あんたぐらいや!私に命令するの!はっはっは・・・。』 、『 えっ?・・・』 。入院した日と違って、綺麗に化粧をして綺麗に着飾って、杖を突いて長女の方を傍らに、上品に退院していかれた。何とも言えぬ人間としての凄味を感じ、なぜか病院玄関まで送って行ったことを覚えている。 私が玄関まで送ったのはこれが最初で最後であった。・・・ (つづく)

 

2019.1.22 とんだ針事故!

医療関係者が採血や点滴時に患者に使用した針を破棄するとき、誤って指先に刺してしまう事故がある。いわゆる『 針事故 』である。対象の患者さんになんら問題となる感染症(B型、C型の肝炎ウィルス保菌者、梅毒保菌者、HIV陽性者など)がなければ大丈夫であるが、そうでなければ直ぐに水道水で傷口を5~10分程度しっかり洗い流す必要がある。私はこれまで針を刺してしまったという事故は数回なのであるが、勤務医時代に長時間のカテーテル治療を行っているときに動脈から噴き出す血液を顔面に浴びたり、カテーテル操作を行っている間に、いつの間にか手袋が破れてしまい、血液が直接肌にしみ込んでしまっていることなどよくありました。待機的(予定)治療の場合は、必ず問題となる感染症に罹患していないか治療前に患者さんの血液検査を行っており、感染症陽性者の治療を行う時は非常にナーバスになり治療を進めていました。心筋梗塞などの緊急治療では感染症の検査をしている余裕もなく、患者の状態も悪いため、最悪の場合は治療室の床は血の海になっていることもよくありました。幸いにも、これまで感染することなく現在に至っています。 数日前、お歳暮に頂いた海苔の詰め合わせを親戚にお裾分けしました。極上詰め合わせなどと書いてあったので喜んでもらえました。しかしそれがとんでもない事件を起こしたのです。昨日の朝のTVでも放送されたのですが、何とその海苔の中に4~5cmほどの長さの縫い針が1本混入されており、親戚の方が気づかず口に入れて刺さってしまったという針事故が起こりました。販売元の百貨店に連絡し、早急の対応をして頂きました。7622セットを自主回収したとのことです。何本見つかるのでしょう? こんな『 針事故 』は初めてで、怪我が軽傷であったことと、これが毒でなかったことが唯一の救いかと思っています。最早、缶に密封された食品も安全でない時代に来たのかと世の終わりを更に感じる事例でした。


2019.1.2 南海トラフ地震?? 地球破滅の大予言!

2019年、また一年が始まった。年末の天皇誕生日の折、皇居に河内の出身である楠木正成像があることを知り、今年の初詣は楠木正成を祀ってある湊川神社に行ってきた。恒例のおみくじを引いてきたが、昨年同様 『 小吉 』 であった。内容は全く悪くなかったのだが、まあどこまで信じるかは人夫々である。今年はどんな年になるのやらと考えても神のみぞ知るである。災害の多かった平成も残り4ヶ月ほどで終わってしまう。酷い震災が多かった時代だったと顧みるところである。多数の死者まで出した平成の地震を調べてみると、平成5年に『 北海道南西沖(奥尻島)地震 』、平成7年 『 阪神・淡路大震災 』、平成12年 『 鳥取県西部地震 』、平成13年 『 十勝沖地震 』、平成16年 『 新潟県中越地震 』、平成19年 『 新潟県中越沖地震 』、平成20年 『 岩手・宮城内陸地震 』、平成23年 『 東北地方太平洋沖地震(東日本大震災) 』、平成28年 『 熊本地震 』、平成30年 『 北海道胆振東部地震 』など、非常に多くの地震を経験している日本国民であるが、これらの大きな地震すら地震学者や気象庁は予測することができていない。逆に、草津温泉や箱根温泉の火山が爆発する可能性が高いなどと予測し、幸いにもその予想は的中せず、多くの温泉街の方々に多大なる迷惑をかけたことすら謝罪のない地震学者。彼らは、これまで犯した自分たちの愚かさを反省することもなく、20年後に 『 南海トラフ地震 』がおこり、死者は32万人などと偉そうに世間に発信している。非常に滑稽である。これまで大きな地震でお亡くなりになられた多くの人々に対し、彼らは自分たちのプロとしての仕事、その責任はどう感じているのか非常に疑問である。また、その推測の仕方が幼稚である。1361年(室町時代初期)に起こった正平地震以降、南海トラフ領域で起こった地震が100~150年おきに発生し、直近の南海地震は昭和19年および21年に起こった昭和東南海地震、昭和南海地震であるとしている。終戦を挟んで前後の年である。それから72年が経過しており、過去の周期?から今後20~30年後に起こる確率が高いといった予測である。まあ、専門的にはもっともっと細かいデーターを参考にしているのであろうが、なんら競馬の予想と変わらない。この昭和の南海地震では1000名ほどの犠牲者が出たようであるが、6,000人以上の犠牲者を出した阪神淡路大震災や、2万人以上の犠牲者を出した東日本大震災を考えると、更に32万人の犠牲者が出ると想定される地震なんてあり得るのかと疑問に感じる。ここまで予想もできない地震学者の言うことを鵜呑みにして地震対策だの避難訓練だのとおかしな話である。もっとも、忘れたころにやってくる災害に対しては、常に発生時の対処を考えておく必要があることは否定しないが、そんな大きな地震がきたらちっぽけな人間の知恵で対処することなどほぼ不可能と感じる。まあ、20年以内と言わないが、30年~50年以内に中国やロシア、アメリカ、中近東などで大戦争が起こる確率の方がはるかに高いと感じる。あてにならない地震対策より世界戦争が起こることの対策を国民をはじめ、世界にアピールしていく方が重要であると感じる。このような戦争が起これば32万人程度の死者では済まず、ほぼ地球は破滅する方向に向かうであろう。1年1年、凄いスピードでIT(情報技術)が進歩し、AI(人工知能)の改良・進化で人間の仕事まで奪い取ってしまう時代。30年もすれば、今の時代が大昔になっていると想像できる。人は殆ど仕事をなくし、収入をなくし、貧困と暴力がはびこる時代になる。国同士はいがみ合い、侵略目的で戦争が起こる。30年先まで中国やロシア、中近東が平和でおれるはずがない。もう、人間の生きている意味がなくなってしまうのである。あくまでも私見であるので怒らないでほしいが、30年先に南海トラフ地震が来るのでなく、地球の破滅がくるのではとノストラダムスの大予言ではないが、私の大予言である(笑)








2018.12.24 先輩先生に捧ぐ

今日はクリスマスイブ。長女の誕生日でもあり、売り切れ間際のクリスマスケーキ兼誕生日ケーキでも買いに行こうかと思っています。小さい子どものころは、誕生日用とクリスマス用のプレゼントを準備していましたが、いまでは・・・。 今年も残すところあとわずかとなってきました。比較的暖冬でスタートしたこの冬であり、今のところクリニック周辺ではインフルエンザの流行も起こっていません。しかしながら血圧が上昇したと不安になって臨時受診される患者さんが例年のごとく増えてきました。 先週、勤務医時代の 5 歳年上の先輩医師(現在は開業されている)が、詳細は不明でありますが突然死されました。これといった持病もなかったようですが、大動脈解離による急変らしいです。面倒見のいい明るい先生でした。派手な結婚式に抵抗を感じていた私の手作りの披露パーティーの司会を買って出て頂き、会を盛り上げて頂くなど本当にお世話なった先生でした。まだまだ、人の為、医学の為、そして自分の為に頑張って行ける年齢でしたのに残念でなりません。黙祷を捧げたいと思います。


2018.11.9  どこかおかしい今の世の中2 ・・・ 不謹慎狩り

今朝の産経新聞に学習院大学の遠藤薫氏が「不謹慎狩り」という記事を掲載していた。非常に聞きなれない言葉である。記事を読んでいくうちに「な~るほど」と、日ごろ私が納得できない不快感を少なくとも解消してくれた。「不謹慎」とは慎みや考慮、思慮分別の欠如などを指して言う感情的形容詞(形容動詞)で、それを見る他者を不快にするような状態であると感じられる事象あるいは集団感情のこととフリー百科事典ウィキペディアに記されている。どうも不謹慎とは個人の感情というより集団での感情のようであることに少しの違和感を感じる。 辛い目に遭っている人に、無神経にも思慮分別の無い発言や行動をとる人間がいる。いわゆる不謹慎者である。昔なら「 あの人は無神経だよね。人の辛さもわからない人だよね 」 などと陰でささやかれて事は終わっていたが、最近は携帯(スマートフォン)や PC の SNS(交流サイト)で陰口が一斉に拡散され、それについてああだこうだと強烈な批判に進化していってしまう。そうなると、どんどん過激になり、不謹慎者となった人間はいつの間にか陰でのささやきが廻り廻って自分が叩き潰されるまで非難制裁を受けるようになってしまう。これが「 不謹慎狩り 」というものらしい。もう、標的になってしまうと社会におれなくなってしまうほどで、最悪うつ病や自殺にまで発展してしまう事例もあるようだ。不謹慎な言動を指摘注意することは悪いことではないが、指摘注意するなら自分の名前、顔を表し、直接本人に言うべきである。結局は、自分に自信のない弱い人間が SNS といった便利な道具を得たことで日常発言もできず、孤独に生活を送っている憂さ晴らしをしているように思える。確かに、辛い目にあっている人に対して無神経、不謹慎な言動には非難することは悪くはないが、制裁を加え 叩きのめすまでの行動はやりすぎである。SNS だけでなく、TV での情報番組もそうである。なんら法律的には問題はないが、不謹慎であるということを理由に、その人間を完全否定し、二度と浮き上がってこれないほどにまで叩きのめす低能マスコミも同様である。まあ、不謹慎者をかばう気は毛頭ないが、謝罪するべきところは謝罪し、過剰に非難されていることには一切謝罪をしないことが不謹慎狩りの対策だと思うのだが・・・


2018.9.25 産業医科大学・防衛医科大学校・自治医科大学(特殊3医科大学)

日本には3つの特殊医大がある。大学は本来、国公立、私立の区別はあるものの文部科学省が所管する。しかしながら、私の母校、産業医科大学、防衛医科大学校、自治医科大学の3校は夫々独自の創設目的から所管が異なる。防衛医大は自衛隊の医官、幹部自衛官の育成を目的に防衛省の所管になる。合格すれば入学金や卒業までの学費は免除され、学生でありながら手当(給与)ならびに制服を支給される。卒業後は幹部自衛官となり医師としては研修後、自衛隊病院や部隊などで勤務することになる。卒業9年以内に義務を果たさない場合(自衛隊を退官、関連医療機関退職など)は学生時代に卒業まで掛かった学費、給与などの経費全てを国庫に返済する必要がある。 自治医大は僻地を含む地域医療に従事する医師の養成目的で自治省(現 総務省)が設立した大学である。全国の各都道府県から必ず合格者を必要とし、各都道府県の合格者は毎年2~3名と決まっている。卒業後は研修後、4年半の僻地医療での勤務を義務付けされ、防衛医大同様卒後9年間、指定された僻地などの公立病院などで勤務した場合は、在学期間の学費は全て免除される。 そして私が卒業した産業医科大学は、北九州市に1978年に専門性にたけた産業医の養成や産業衛生医学を専門とした医師の養成を目的に労働省(現 厚生労働省)の労働基準局所管の産業医学振興財団の助成を受けて創設された。入学金と授業料は国立大学と全く同等であるが、医学教育にかかる学費は振興財団から全額貸与された形となり、卒後9年間は産業医や産業医学に関係した医療機関に従事する義務があり、従事できない場合は貸与された学費(約1,000万円ほど)を返済しなければならない。私の場合、卒後産業医にならずに一般臨床医(循環器医)を選択。産業医学に関係した臨床病院として労災病院を希望した。出身が大阪であるため、関西には大阪労災病院、関西労災病院、神戸労災病院と3施設があるが、当時新設医大であった産業医大はこれらの病院に十分なスタッフを送り込むことなど不可能で、伝統校である大阪大学、神戸大学が掌握しており、勤務することは不可能に近い状況だった。そこで卒後大阪大学第一内科の入局試験を受け、同グループに所属し3年間大阪労災病院で研修後、2年間関西労災病院で循環器医として勤務、その後、再度大阪労災病院に戻り2001年4月まで勤務させてもらえた。もっとも、このような例は非常に非常に稀で、一般臨床医を選択した殆どの卒業生は卒後9年間の義務を果たせず、学費を返済する場合が多いようだった(当時の私立医大の年間授業料は400~500万円のところが多かった)。これら3医科大学のうち防衛医大のみ国立大学扱いとなり、自治医大、産業医大はなぜか私立医大扱いになっている。授業料が国立大学同等あるいは免除ということと、受験日が独自で設定され、他の国公立大学と異なっているため、私もそうであるが希望の国公立大学とこれらの特殊大学の受験が併願できるという選択を与えられた(産業医大のみ1982~2005年に国公立大学と同日の受験日になった)。当然の如く、莫大な受験人数となり、当時は30倍以上の人気となった。サラリーマンの子供が私立の医学部を受験することなどほぼ不可能で、義務・条件は付いているものの授業料を気にせず受験できるという夢を与えてくれる3大学である。産業医大は2005年より、100%貸与されていた学費が国の予算の変更で63%に減額され、その分自己負担するようになったようである。


2018.8.16 女子医学部受験生の減点入試・・・医師の65%は理解できる

東京医大の裏口入学問題が、女子医学部受験生の一律減点入試の問題に波及し、連日騒がしく報道されている。医師人材紹介会社の「 エムステージ 」が医師対象にアンケートを取ったところ、65%の医師は理解できると答えたようだ。長年、救急の現場でチーム医療をしてきた私としても同じ意見である。別に女性を差別する気は毛頭ないが、やはり妊娠、出産、育児で数ヶ月勤務に穴があいてしまうことは現場の残されたメンバーにとってかなりの負担になってしまう。それが、1人ならいざ知らず、複数となれば医療は崩壊してしまう。残された医師は、自分の受け持ち患者以外に休まれている女性医師の受け持ち患者を引き継いだり、担当していた外来も割り振って受け持ったり、救急患者の対応のための当直業務まで残された医師で穴埋めしなければならなくなる。精々1~2週間は我慢できるであろうが妊娠・出産・育児までの長期休暇の穴埋めは不可能である。当然、女性イコール妊娠、出産、育児ではなく、生涯、男性にも負けず働き続けるという女性もいるだろう。ここでは一般論として話を進めるが、現場を知らない無責任な部外者は非常勤の医師を雇えなどと言っているが、教師と違って医師は出産休養か病気休養者以外皆、どこかの医療機関で仕事をしている。例え、非常勤医を雇えたとしても、専門的な技能を要求される大病院では役に立たず、チーム医療もできない。いわゆるペーパードライバーがいきなり長距離のトラックを運転するようなもので医療事故が起こることが想定される。部外者は、殆ど口を揃えて「 女性医師が出産後も働き続けられるよう、医療現場が根本的な働き方改革を進める必要がある 」なんて綺麗ごとを言っているが、不可能である。この仕事は男女平等とかいう仕事ではないのであって、医師個人の権利を胸張って主張できるものではなく、命に関わる疾患を相手に時に時間との闘いをする仕事であって自己犠牲はつきものであると言える。勉強ができるのに不公平だといったレベルのものではない。ある意味、スポーツに似たところがある。女性であるという理由で甲子園を目指せない、大相撲を目指せないといったところと若干の共通点はある。TVで何度となく見るが、東京医大を受験失敗した女子受験生のインタビューが流され「 折角勉強してきたのに酷い。不公平は許されない。 」などと言っているが、そもそも、サラリーマンの子供などは授業料が高すぎて、私立の医学部受験の選択肢すらない訳であって、それを不公平と言わずして自分の受験失敗を棚に上げて情けない。こんな偏ったインタビューで医学部受験を捻じ曲げて報道するなど、相変わらず低能のマスコミのやることにはうんざりである。どうせ流すなら現場の医師の意見を報道すべきであろう。


2018.8.3 熱中症

過去にない猛暑が続く日本列島であるが、熱中症患者が急増していると世間は大騒ぎしている。確かに死亡者も出ている状況であり、私が少年野球に夢中であった時代の夏とは比べものにならないほどの暑さである。しかし、相変わらず騒ぎ立てるマスコミ報道により高齢者の皆さんは、恐怖におののいて生活をしている毎日である。いわゆるマスコミのあおり運転である。連日、診察に入ってくるお年寄りは、『 この前、熱中症にかかりました。少しふらふらしました。』とか『 少しふらついたので熱中症かと思って救急車を呼んで救急病院に行きました。』などと熱中症の意味もわからず簡単に話されます。しっかり冷房を利かせ、水分を摂取されている状況で熱中症などかかるはずがない。そもそも熱中症は高温・多湿な環境に長時間暴露され、体温調節ができなくなった状況で発症する。以前は屋外の炎天下で水分補給せず、運動や作業をして発症することが一般的であったが、最近の猛暑では、節電し温度が高くなる通気性の悪い室内(キッチン、バスルーム)でも起こる(節電熱中症)ことが増えてきたようだ。しかし、熱中症の殆どはⅠ度~Ⅲ度あるⅠ度(軽度)である。熱や湿気により体温が少し上がり、水分不足(軽い脱水)のために、血圧が少し下がり脳への血流が減少し、一時的なふらつきやめまいを生じるのである。頭を低くして涼しい場所で冷たい飲み物でも摂ればすぐに回復する。こういった対応もせず、救急車をよんで病院に向かう者が急増しているのである。はっきり言ってこんな程度(軽度)を熱中症と位置づけてしまったことに問題があるように感じる。中等度になると38℃前後の発熱が生じ、頭痛や嘔気、嘔吐が生じる。こうなれば医療機関を受診した方が良いと思われる。重症ともなると、40℃前後の発熱と、内臓機能障害、意識障害が出てくる。致死率も30%ほどあり危険である。生存しても脳機能障害や腎機能障害などの後遺症を残す場合も多い。まあ、世の中の熱中症騒動は大袈裟すぎて怒りさえ覚える。なぜ? 実は私は大学に入学した1年生の時、重度の熱中症(熱射病)で入院したことがあるからである。テニス部に入っていた私は、授業が終わって午後(土曜日)から練習に参加。1年生ながら少し上手かったので、上級生の先輩方の練習台になった。代わる代わる次から次へと先輩とストロークの打ち合い。雨の中で練習をしているかと思うほどTシャツはビショビショになり、汗の雫をポトポトと垂らしながらの状態だった。途中、休憩することもなく、水を飲むこともなく約4時間。終わった時は、凄い脱力感で下宿に戻るのもふらふらだった。風通しの悪い6畳一間で大の字をかいて休んでいたが、徐々に発熱。倦怠感が強く、一夜を過ごす勇気がなく、下宿仲間に頼んで病院に連れて行ってもらった。かなりの運動量と脱水を訴えたが、その医者は風邪と診断した。下宿に帰って更に発汗が増した。冷蔵庫の中には飲み物もなく、少しの水道水を飲んで凌いだ。翌朝(日曜日)、下宿仲間が心配して部屋を訪れてくれた時には意識もうろう。体温は水銀計の最大42℃を示していた。大家さんの車で大学病院に運んでもらい、『熱射病』の診断で緊急入院。頸部、腋窩、鼠径部など氷漬けと大量の点滴。お陰で夕方には37℃台まで解熱し、気分も楽になった。採血での検査値異常があったのか(教えてもらえなかった)、その後一週間も入院することとなった。幸いにも脳障害をはじめとする後遺症もなく、その後無事に医学部を卒業でき、医者になることができた。これが熱中症である。 ちなみに、大変お世話になった下宿仲間は今でも親交を深めている。入院で必要な物品を色々と買い出ししてくれたり、走り回ってくれた向かいの部屋の立道君(現 東海大学医学部衛生学公衆衛生学教授)、様子伺いに部屋を何度も見に来てくれた隣の部屋の宮本君(現 佐賀大学医学部微生物学教授)、『お~い、生きてるかい?』と朝一で部屋に来てくれた田中さん(現 蔦の会 たなか病院院長)には大変お世話になった。今、後遺症なくどうにか生きておれるのもこの友人たちのお陰と感謝している。


2018.6.13 非核化すれば安全な世の中?

昨日は歴史的史上初の米朝首脳会談が行われた記念すべき日であった。非核化や弾道ミサイルの廃棄などと日本を含む反北朝鮮諸国の国民は祈る思いで見守っていたものと思われる。世の中を破滅させるのは何も核やミサイルなどだけではないことを確認したい。科学者は実力を競って他人に作れないものを作ろうとする。当然、作ることに成功すれば使いたくなる。限定的ではあるが無人運転バスの試運転が内閣府が斡旋して各地で計画され期待されている。本当に期待していいのであろうか? 安全性に関しては現在は不十分であろうが、間違いなくこの課題はクリアーされる。となると、世の中の車は近い将来全て自動運転になるだろう。そうなると、運転手という仕事が世の中からなくなる。どれだけの人が職を失うことになるのか。しかし、自動車の無人運転などを検討するくらいなら、線路の上を走る電車の無人運転など凄く簡単なことである。実際、神戸のポートライナーは1981年から開通し、いまだ問題なく走っている。なぜ新幹線をはじめとする鉄道の無人運転に手をつけないのか? こんなの数年あれば全国の鉄道は運転士なしで走ることくらい簡単に成し得るはずである。それは核ミサイルのスイッチを押すようなことになるからであろう。鉄道関係の失業者が恐ろしい数に上ることになるのである。スーパーのレジ、コンビニのレジも無人化の方向に試行中。銀行は既に無人と言っていいほどリストラが進んでいる。便利だ便利だと愚かな人間は喜んでいるようだが、どんどん人間のできる仕事が機械に蝕まられ、働くことのできる人間は限られてくる。仕事をするからお金がもらえ、好きなものを買ったり食べたりすることができるのであるのに、働きもせずしてこの先どうして便利に便乗できるのであろうか? お金を稼がずしてバスにも乗れない。コンビニで買い物もできない。日本中は生活保護を受ける人間ばかりになるであろうが、誰が税金を払って国を支えるのであろうか? 便利なものを作れたからと必ず使ってしまおうとする時代をいつ止めることができるのか。非核化を成し遂げても、自分たちで時限スイッチを押していることに気づいているのであろうか。昭和の時代にベストセラー(映画化)となった『 猿の惑星 』をご存知だろうか?  進化した猿に狩られ奴隷となる知能のない人間が支配される惑星(未来の地球)の話である。『 AI の惑星 』である。


2018.1.22 どこかおかしい今の世の中… あおり運転?

言論の自由だなどと偏った思想や意見を発信している今のマスコミには呆れ返るところが多い。毎日のニュースを観ても、どの放送局も一語一句全く同じ言葉で感想まで同じことを言っている。全く、くだらない。感想ぐらい、放送局によっては180度違ったことを言っても良さそうなものである。記者会見ともなると、何十台ものカメラで眩しいばかりのフラッシュを浴びせて無数の写真を撮影している。カメラマンの立ち位置による少しの角度の差こそあれ、殆ど同じような写真が写るのであるから、せいぜいカメラマンなど2~3人いて(1人でもいいかもしれない)、代表で撮影して共用すればいいものをと思う。それも4~5枚の写真撮影でいいのではないか。何百枚も撮ってるようで、馬鹿みたいですね。いや、馬鹿なんでしょうね! 若者のテレビ離れのせいで、視聴率を取ろうと、高齢者向けの健康番組や高学歴者のクイズ番組が多くなってきた。健康番組も適切な説明やアドバイスを与えるならまだしも、的を外れた疾患の説明をするもんだから、心臓疾患が取り上げられた翌日には、同じような症状・不安を抱えてクリニックを受診する人(患者でない)が増え、診療に支障をきたす。クイズ番組だって、決まった芸能人ばかり正解する。推測ではあるが、番組本番で出題するクイズの問題集を前もって渡しておいて、その中からアットランダムに出題しているのだと思う。やらせである。あおり運転がニュースになったときも、あおられたドライバーが全て被害者のように報道しているが、確かに非常に極悪なあおり運転とその後の暴力は許しがたいものがあるが、逆の見方をすると運転マナーが悪く、携帯しながら追い越し車線をゆっくり走っている大バカ者や、運転が下手で後方から追いついてきた車の確認もせず、いつまでもダラダラと追い越し車線を走行しているドライバーが多い事実の紹介がされていない。この場合、法律的には道交法27条「 左側に寄って進路を譲る義務があり、5万円以下の罰金を請求されることになる」。どちらが被害者で、どちらが加害者でしょうか?ルール通りの運転をしていたら、世の中からあおり運転など起こらないのではと逆に思います。ある番組のアンケートであおられたことがあるという人の割合が50%以上あった。この数字をどうとらえますか? それだけ、下手なドライバーが増えた(二人に一人は下手なドライバー)ということを証明する数字です。おまけにドライブレコーダーを付けてあおり運転を摘発しましょうなどとテレビコメンテーターはそれこそあおっていましたが、確かに暴行を行うような極悪人対策には一つの効果があるとは思えるが、あおり運転を摘発するつもりが、あおられている方が道交法27条違反の証拠として警察に告訴されれば、立派な証拠となるので告訴は受理され捜査は開始され、後日罰金刑が下る公算が大きいと言えるでしょう。いや~、本当に下手なドライバーが増えました。最近特に目立つのが、狭い路地に左折するわけでもなく、普通の一般道を左折するときに大きく右に一度振ってから左折する車である。酷い時は、横の右側車線を少し越えてまで振って左折するものだから、右側車線を直進する車に接触しそうになっている光景を幾度となく見たことがある。ドライバー本人は何とも思っていないのでしょうね。もう少し、内輪差について勉強しなおした方がよいでしょう。マスコミのようなものの見方ばかりすると、ボサーとした自分を反省しない人間ばかりが守られ、被害者である人間が加害者にされてしまう。おかしな世の中である。


2018.1.12 世の中に風邪の咳に効く薬なし

年末、年始と風邪をひいて受診される患者さんが多くなっています。特に、咳が止まり難いと受診される方が多く、何軒か診療所を回って当院に来られる方もおられます。恐らくその逆で、当院を受診され咳が改善しないと他院を受診されている方もおられると思います。風邪はウィルス感染ですから罹ってしまうと自己免疫力で治すしかありません。ご存知の通り、一般的には4~7日ほどかかりますが、体からウィルスが消えても咳だけが長く(3~4週間)残ることはよくあることです。先日も一週間も咳が止まりませんと言って大騒ぎして診察室に入ってきた患者さんがいました。まあ、珍しい光景ではありませんが。すぐに肺炎だ、結核だと騒ぐ患者さんが多く、これもいらぬ情報の影響かと嘆いています。熱が下がらず咳が持続する場合は要注意ですが、熱もなく全体的に落ち着いてきたが咳だけが酷いという場合は3~4週間は覚悟しておかないと仕方ありません。昨年末にアメリカ胸部医学会が、市販の咳止め薬や民間療法を含め、この世に有意に咳に効く薬は存在せずこれらの薬の服用は推奨されないという見解を発表しました。当院では、希釈したコデインを含むシロップを処方することで少しは軽快している患者さんがいる印象です。但し、軽度の喘息が隠れている症例がちょこちょこおられ、この場合は吸入ステロイドなどを併用すると著効する場合があります。やはり風邪は引かないように日頃から手洗い、うがいなどの予防に心掛けることが大切ですね。

 

2017.7.20 ヒアリ(火蟻)、セアカゴケグモ、スズメバチ

「 先生、ヒアリ(火蟻)って怖い蟻らしいですね。刺されると死んでしまうこともあるらしいですね。」とMさん。「 小さな虫でも、大きな人間を殺してしまうなんて馬鹿にできないですね。」「 先生、ニュースで毎日騒いでますが刺されたらどうしましょう?」「 Mさん、実は3年ほど前の夏に、私は自宅の庭で夕方セアカゴケグモに咬まれた経験があります。右足の甲が一瞬チカッと痛みが走ったので、何もわからず手で足の甲に乗っている虫を叩き潰してビックリしました。1センチほどの正に背中が赤い蜘蛛でした。すぐに洗い流しで冷やしましたが、痛みは時間とともに酷くなり、細い焼け火箸を足の甲にジューっと刺されているような痛みで、その晩は寝ることさえできず、部屋の中を歩き回っていました。翌日も痛みは持続しましたが、少し軽快していたので診察はできました。」「 えっ、先生がセアカゴケグモに咬まれたんですか。ショックを起こさなかったのですか? 」。今、騒がれているヒアリにしろ、セアカゴケグモにしろ、スズメバチにしろ、その毒素で死ぬわけではありません。まあ、痛くて腫れあがりますが。そんな小さな虫の毒素が人間に入ったって大した量ではありません。怖いのはアナフィラキシーショックという過剰なアレルギー反応です。もっとも、この反応は初回で起こることはなく、一度咬まれてこれらの虫の毒素(抗原)が体内に入ることで IgE 抗体というものが作られ、二度目の毒素(抗原)の侵入で抗原抗体反応が起こってショックを起こす訳です。また、二度目の侵入で必ずショックを起こす訳でもありません。「 私も連日、ヒアリの報道をテレビで見ていますが、説明が不十分な上に、視聴者に対してヒアリを見つけたら冷静に対処するようになんて呼びかけていましたね。騒ぎ立てているのはマスコミの方なのにね 。」 マスコミよ! 知識のない君たちこそ、もっと冷静に視聴者に伝えるべきではないですか!


2017.7.9 救急車の頻回要請

今年3月、総務省が昨年の救急車の出動件数を 621万82 件の過去最高数と発表しました。その要因として、救急車頻回要請者の本来は救急車を必要としない要請が影響しているようです。全国で年間 10 回以上救急車を要請した数は 2,796 名で延べ要請回数52,799 回に上ると報告されています。 東京都においては年間 30 回以上の頻回要請者を集計すると、なんと年間の平均要請回数は 60 回、多い人で 200 回にも及ぶようです。これらの人たちの多くは、夜間一人でいると息が苦しくなり、死を覚悟して救急車を要請するらしく、救急隊が来ると間もなく症状は落ち着き、救急車も不搬送で引き返す例が多いようです。現場では30~45分ほどの時間を要し、この間に本来の救急患者の搬送要請に支障を来してしまうことになるわけです。精神的疾患を有する人や、高齢者の一人暮らしで孤独を感じている老人が多いようです。解決策、さてどうしたらよいものなのだろうか?


2017.5.31 17年目の診療

今日でクリニックの16年間の診察が終わります。明日からは17年目の診察が始まります。16年間という月日が只々早く過ぎ去ってしまったように感じます。40歳になる年に開業し、私も今は55歳になりました。昔でいえば定年退職の歳です。小学校2年生、幼稚園の年中組だった娘たちも立派?な大人になりました。今も日帰りの心臓カテーテル検査は行っていますが、10年間日帰りでカテーテル治療を行った実績に我ながら感動を覚えます。無床のビル診療所で行うことは、世界中を探しても当院だけでした。おそらく、最初で最後のクリニックだと思います。クリニックで診療をする傍ら、大阪府下の複数の病院、奈良県下の病院、滋賀県下の施設など関西圏のみならず、日帰りで月1回 福岡市内の病院にもカテーテル治療で出かけたことも今となれば懐かしい思い出になりました。疲れも感じず、全力でよく頑張ったなと自分を褒めてあげたい気分です。今も甘えることなく頑張っているつもりではあるものの、当時の自分に笑われてしまう程度の頑張りなのかもしれません。そろそろ引退かな?と感じる今日ですが、一緒に走ってきてくださった患者の皆さんを置き去りにするわけにもいきませんね。体調が悪く、気分が冴えない時もありながら、午前5時間、午後2時間半ほどの息継ぎなしの診察には終わるころには息切れと大きな疲労を感じます。体力が減退するのは当たり前。いかにモチベーションを保って仕事をするかがこれからの課題と感じ、17年目のクリニック診療に突入です。患者のみなさん、一緒に頑張っていきましょう!


2017.3.4 バカが多い世の中!?

診察室に入るや否や「 先生、最近凄く体調が悪いの。知人は病気になるし、私の吞んでいる薬は良くないと近所の人が言うんです。心配で今日、予約外で受診しました。」毎日元気にスポーツジムに通い、卓球に励んでいるMさん。「 近所の人は医者か医療関係者ですか? 」「 いいえ、全くの素人です。」「・・・?」全く、あきれ返ってしまいます。なんの知識もなく、どこからか根拠のない情報を仕入れ、よくも他人に平気で薬の批判などできたものである。また、そんなデマに惑わされて不安になる人もおかしなものである。つい先日、日本睡眠学会と日本神経精神薬理学会がNHKの『 ガッテン!』という医療情報番組に抗議し、厚生労働省からもNHKは指導を受けた事例がある。番組内で、「 睡眠剤を服用して睡眠障害を改善すると糖尿病が良くなる!」と適当な科学研究論文を誤用あるいは捏造して説明したらしい。現場では大混乱。こんなことをNHKでも平気で行う時代。視聴者もなんの疑いもなく平気で信用する。なんとバカな人間が増えてしまったことか。先日、面白い文庫本を購入した。『 バカが多いのには理由がある 』という本である。巻頭に、テレビ局のエリートディレクター曰く「 昼間っからテレビを見ている視聴者って、暇な主婦とか、やることのない老人とか、失業者とか、仕事をしていないまっとうじゃない人達です。彼らをひとことでいうとバカです。彼らを喜ばせるためにくだらない番組を毎日作っているんです。1000万人単位の視聴者を相手にするテレビ(マスコミ)の役割はバカに娯楽を提供することです。(要約)」といわゆる視聴率を上げるためには間違いであっても手段を選ばずといったところである。韓国や中国が反日を謳うとその国民が喜ぶのと同じようなものである。お互いが目覚めないとこの現象はどんどん酷いものになってしまうだろう。振り込め詐欺が老人を相手にどんどん手法を凝らしてエスカレートするのと同じで、マスコミは老人など病気で不安になっている人達に拍車をかけて不安がらせ、適当なことを言って視聴率を上げている。いざ、間違いを指摘されると「 訂正とお詫び 」などと簡単に謝罪して終わり。罰せられない分、振り込め詐欺よりたちが悪い。だからといって、お年寄りに信じるなと言ったところで難しい話である。要は、「 マスコミよ、もういい加減にしろ! 」と言いたい気分である。

2017.1.29 世も末

先日、Mさんが駅の階段でつまずいて転倒し、頭をぶつけて3針縫うほどの怪我をした。勢いよく後方から走ってきた人と接触したらしい。「 エスカレーターを使えばよかったのに 」と言うと「 先生、今のエスカレーターは縦に一列に並ぶような、どうも不可解なものになってしまって乗り口で渋滞するもんだから階段を使うことが多いです。」「 そうですよね。私も以前から気になって、この光景を見るたびに世の中の終わりだとも思ったりすることがあります 。」いつからこんなことになったのだろうか?はじめの頃は駅のエスカレーターだけであったのが、いまでは百貨店などありとあらゆる場所で全てのエスカレーターがそうなっている。東京と大阪は並ぶ側が違うと誇らしげに話しているTVを見たことがある。確かに駅の場合は、急がないと電車に乗り遅れそうになる場合など、片側を空けておいてあげることは悪くはないが、なぜ急ぐ必要もない百貨店などのエスカレーターまで片側を空けておく必要があるのか全く理解に苦しむ。中には急いで階下・階上に行きたい人もいるだろうが、その場合は「 すいません 」の一言を言えばいいだけのことである。私は意地悪にも、友人や家族とエスカレーターに乗る場合は、駅以外は敢えて横に並んで乗るようにしている。Mさんのいうように、乗り口で渋滞していることも結構ある。今の人たちは考えることより、右にならえをしておけば楽だと思う人が多すぎる。スーパーのレジでもトートバッグを持参している人は、『 NO レジ袋 』の札を買い物かごの上において精算をしてもらうシステムが普及している。「 レジ袋要りません 」と一言発することがそんなに煩わしいことなのか?店員との会話をしてはいけないのか? なんと、しらけた世の中になってしまったことか。そのうち、病院やクリニックでも同じようなシステムになるものと思われる。人工頭脳(AI)の登場である。コンピューター画面に向かって、症状を選択し指でクリック。画面の質問が次々に進み(銀行のATMのように)、最終的には『 あなたは、〇〇検査、△△検査を受けて下さい。○○検査は3番、△△検査は5番の検査室に行って下さい。』と、もはや医者に問診をしてもらうことはなくなることであろう。実際、今の大病院はマニュアル化されたガイドラインという症状や疾患に応じた検査と治療の虎の巻をみて、若い医師たちは医療に励んでいる。我々年代の医師と違って、事細かに問診なんぞしてくれない。一言、二言症状を訴えただけで、虎の巻に書いてある検査を無数といっていいほど多数の検査を一斉に予約し、患者さんに受けさせ後日結果説明。最早、人間である医者がする仕事ではなくなってきているのであり、後は立派な人工頭脳が出来上がるのを待つだけである。手術も、ダヴィンチという支援ロボットを使って遠隔操作で行うものであるから、直接患者さんに触れることもなく治療をしてしまう。今は病院内で行っているのであるが、そのうちロボットの操作器具を多数備えたセンターを1ヶ所に集約して、外科系の医師がそこから無線で手術をしてしまうことになるだろう。離れ島など医療水準の低い地域の人たちには有難い話だが、都会の病院でも現在のような多くの医者は必要なく、医師過剰な時代となってくることだろう。スマートフォン一つでなんでも調べる便利な時代だが、しっかり本を読んで調べ、そこで考えるという一連の行為がなくなってきた現代、破滅に向かっていると感じるのは私だけだろうか。


2016.12.30 今年も終わります

また今年も終わろうとしています。一日一日があっという間に過ぎてしまうせいか、一年もあっという間に終わってしまおうとしています。今年も 沢山の患者さんが診療に訪れ、元気を取り戻してもらえた方が多いことと思っていますが、私の力不足で元気が戻らない方もおられたことには、更なる勉強が必要と思っています。28年間医療に携わり、思い出に残る患者さんや、印象強かった疾患が思い出されるときがあります。研修1年目に90歳の明治生まれの Y さんが、心筋梗塞が原因で緊急入院。治療の効果もあって、元気になり退院されていかれましたが、入院中、胸痛や息苦しさを感じたときに舌下して使用するニトログリセリン錠(現 ニトロペン)について説明すると、「 先生、口の中で爆発しませんか? 」と真剣に尋ねて来られたことが今でも思い出されます。確かに、ニトログリセリンはダイナマイトの原料ですものね。O さんの場合は、胃カメラ検査でカメラを口に挿入するときに、「 Oさん、舌を出してべ~として下さい。」と私が指示すると、横になったまま、右人差し指を下まぶたに添えて、『 あっかんべ~』をされたとき、吹き出しそうになったことを今でも鮮明に覚えています。研修医時代は胃カメラもしていましたね。I さんは、いまでもクリニックに来てくれていますが、心臓外科の手術前にMRIをとることになり、私が研修をしていた R 病院には、当時 MRI がなく、私の車と、ご家族運転の車の2台が連なって(ナビがない時代)O 病院に行き、検査をしてもらったことも懐かしい思い出です。R 病院の心臓外科手術第一号でしたね。M さんの場合は、40歳台後半で不安定狭心症で R 病院を受診され、緊急でカテーテル治療をしました。家族性高脂血症が元々あり、内服薬では全くコレステロールが下がらないため、放置するとまた血管が詰まってしまうとの考えで、透析内科の医師にお願いして、2週間に一度、LDL アフェレーシス(透析の器械で血液中の悪玉コレステロールを抜いてもらう治療)をしてもらったことも、R 病院では第一号の治療でした。現在は、凄くよく効く内服薬ができ、お蔭で元気に月一回通院されています。N さん、S さんはともに心筋梗塞で緊急入院。カテーテル治療を担当しましたが、心筋のダメージが大きすぎて血流の再開だけでは延命効果も見込めず、当時世界的に行われ始め歴史の浅い『 Dor手術 』を心臓外科部長 T 先生に進言し、高リスクを覚悟で第一例、第二例の Dor 手術をしていただき、無事大成功を収め、T 先生の勇気と力量に敬意を表しました。今でもお二人はお元気に通院されています。まだまだ思い出される症例はあります。これからも、ところどころでご紹介します。 では、良き新年をお迎えできますよう心よりお祈り申し上げます。


2016.12.24 保険診療と人間ドック

「 先生、TVで血液検査をすれば癌がわかると言ってました。癌マーカーというのがあるらしいですね。 」と検査を希望するKさん。「 腫瘍マーカーのことですね。」 夫々の臓器にできる癌が特殊な物質を作り出し、血液中に放出してきます。これを検査で測定するものです。数十種類あります。例えば、胃がんや大腸がんであれば CEA などのマーカーが高値を示し、肝がんであれば AFP や PIVKA-Ⅱ などが上昇することがあります。しかしながら、あくまでも補助診断的な意味しかなく、異常値が出ても癌の存在は認められなかったり、正常だからといっても癌が隠れていることも良くあります。一般的には保険診療では特別な場合(癌の治療中や治療後の経過を見る目的)しか測定することはできません。「 Kさん、心配だから調べて下さいというのは皆さんが診察室で受けている保険診療ではできません。心配なので検査を受けたいという場合は、全額自己負担(保険がきかない)の人間ドックで検査を受けてください。心配だから・・・なんて検査していたら、保険制度がパンクしてしまいますよ。」 保険診療とは、何らかの症状があって病気を疑われる場合に医療機関を受診し、医師の判断で必要な検査や治療を行うことで、何の症状もなく、ただ心配だからというのでは保険診療にあたいしません。高齢者は1割負担なので自己負担が少なく、腫瘍マーカーのみならず、何でも心配だからと検査を受けたがる傾向が非常に強く感じます。検査の必要性は医師が判断するのであって、患者が希望するものではありません。


2016.12.11 続・悪魔の尿管結石発作

初回の尿管結石発作から丁度5年が経過したときに2度目の発作が起こり、その後5年経ち、6年経てど全く発作の気配もなく生活していたが、10年後の一昨年に3度目の発作が起こった。悪魔の到来である。2度目の時同様、午前の診察が終わった昼休みである。3度目ともなると、痛みで七転八倒しながらも、この先どうなるのかという時系列が頭をよぎり、不安は以前ほどではなかった。しかし、この時の痛みは過去2回をも凌ぐ激しさで、また長時間持続し、消失してもすぐに繰り返すというしつこさであった。結局、午後の診察には間に合わず休診させて頂いた。夜になっても痛みはひかず、只々床を転げまわっているばかりであった。結局、自宅にも帰れず、初めてクリニックで一夜を過ごすことになった。クリニックが4階にあるのだが、大げさでもなく、何度となく” 窓から飛び降りたくなる”ような気分であった。痛みに対して、ペインクリニックで麻酔を打ってもらったが効果なく、痛み止めの注射も効果なし。しかしながら、今回は、比較的ボルタレン坐剤が効果を表し、発作を感じるごとに早め早めに使うことで日々の診療、生活を凌いできた。1ヶ月が経過しても排石されない。痛みの度合いは軽くはなったとはいえ、坐剤なしではのたうち回る状況には変わりなかった。この時期に、B病院に出向して、患者さんのカテーテル治療をすることがあった。治療中は全く問題なく手技を進め終了することができたのだが、終わって20分ほどして発作が起こり出した。流石、プロだなと自分に感心しながら、坐剤を求め急いで自宅に戻った。10年前も、大阪市内の J病院に招かれてカテーテル治療を行ったとき、この時は既に結石が膀胱に落ちていたので痛みは全くなくなっていたのだが、頻繁にトイレに行きたくなるという状況で、我慢しながら手技を終えたという苦い思い出がある。結局、ボルタレン坐剤に感謝しながら結石が出たのは半年後であった。なんと出てきた石は長方形のスライドガラスを何層にも重ねたような見事な結晶で、11mm×7mmという恐ろしいほどの大きさであった。ここまで大きければ、本来、ESWL(衝撃波結石破砕術)の適応であったと思われるが、仕事を休む時間はなかった。先日、健診を初めて受けてみたが、CTで右腎臓に次の候補がしっかり準備をしているようだった。


2016.12.4 悪魔の尿管結石発作

ぎっくり腰になって5日が経ちますが、未だ痛みはひきません。朝、ベッドサイドに起き上がるのに5分以上もかかる状態です。連日、お年寄りの患者さんが「 朝起きる時に凄く腰が痛くて起き上がるのに一苦労です。」 という言葉が身に染みて良くわかります。私は20年ほど前から3回、この腰痛以上に恐ろしい尿管結石の発作を経験しています。まさに悪魔の到来です。例えようのない痛みで、少し腰に違和感を感じたとたん数分以内に激しい痛みが襲ってきます。初めて起こった20年ほど前は、朝6時ごろ就寝中に起こり、ベッド上で左右にのたうち廻っていました。数十分の格闘で少し立ち上げる余裕ができた時を見計らって、勤務先の病院に家族の車で運んでもらったことがありました。結局痛み止めなどの注射をうけるも効果なく、ベッド上でのたうち廻っているうちに少し楽になって帰りました(たまたまこの日まで夏季休暇中だったので業務にさしつかえませんでした)。翌日から、時折おとずれる痛みと闘いながらの仕事をしていましたが、幸い石が小さく間もなく軽快しました。その5年後にはこれにも増して激しい痛み発作を経験。開業して2年?ほど経過しており、幸い昼休み中のこと。やはり腰の違和感から始まり悪魔の到来です。4時間後の5時から夜の診察(今は3時から午後診)があるのでどうにか落ち着かせないとと祈りながら床の上をのたうち廻っていました。ベッドがあるのですが、痛みの激しさでベッドで休めるような状況でなく只々床の上をゴロゴロとのたうち廻っているだけです。痛みは徐々に軽快し、夜の診察にはぎりぎり間に合ったという状況で神に感謝して、何事も無かったかのように診察を始めました。しかし、3人目の診察で再び激しい痛みと吐き気を催し、トイレに駆け込んで吐いてしまった経験があります。職員に事情を説明してもらって、残りの患者さんの診察はできず、後日謝りの手紙を送ったことを覚えています。晩には落ち着き、帰宅しましたが、翌日の午前の診察中にまた激しい発作に襲われ診察を止めました。救急車で病院に行っても意味のないことを重々承知であるため、耐えるしかないのです。この石は2週間ほどで排尿時に飛び出してきました。米粒の半分ほどの小さなトゲトゲした憎き石でした。たった、こんな小さな奴に負けたのかという人間の弱さを感じました。そしてそこから10年後・・・・・

2016.11.29 五十肩に疲労骨折、そして ぎっくり腰

「 だいぶ寒くなってきましたね。でも先生はいつも元気そうで羨ましいですね。 」 とHさん。勤務医時代から拡張型心筋症で診ている患者さんです。内服薬の効果良く、もう20年ほどになりますが、心不全の症状もなく元気に過ごされています。「 いえ、10月から右肩が痛く、夜中うずいて十分寝れない日が続いています。50歳台に多い五十肩というやつですね。」 寝ると肩が落ちて痛みが悪化する夜間痛が特徴です。50歳台に多いようですが、学生時代テニスをしていた影響か、30歳台後半のときにも五十肩になった既往があります。痛みが落ち着くのに、半年から一年はかかる長丁場の疾患ですね。肩の寿命が50年ということなのかもしれません。「 先生も五十肩になるんですか? 」「 いえいえ、それだけではないのです。3週間ほど前、ゴルフのスイングをした時に、左腋下の痛みを少し感じて、先週一気に悪化。肋骨の疲労骨折らしいです。」「 え~、2つも同時に大変ですね。」「いやまだあるんです。今朝 自宅の階段を降りてるときに突然ぎっくり腰になって、今腰にベルトを巻きながら診察してるんです。今日は地獄ですよ。」 診察を放棄したいほど辛かったです。泣き面に蜂とはこのことです。長年、カテーテル治療に携わってきた影響で、12年ほど前に腰椎ヘルニアを発症。それ以来、1~2年に一度の割でぎっくり腰になってしまいました。医者も患者なのです!

2016.8.28 水銀血圧計がなくなった!

「 あれ、先生、新しい血圧計を買ったのですか? 」と開口一番、診察室の椅子に座るや否やAさん。「 ええ、そろそろ水銀の血圧計は世の中から消えていくことになりました。」 3年前に水銀に関する水俣条約という外交会議で2020年以降、水銀を使用した製品の製造販売が禁止になりました。実際、現在でも水銀(血圧計、体温計)の廃棄処分が非常に厄介で、その廃棄に支払う費用も高価なものになっています。丁度この時期に、医師会が各医療機関の使用できなくなった水銀計を一括し、安い費用でまとめて廃棄処理の手続きを取ってくれるということで、このタイミングでクリニック内の血圧計を一新しました。「 水俣病って、どんな病気でしたか? 」「1950年代に熊本の水俣湾、1960年代に新潟の阿賀野川流域で工場より垂流された水銀が魚に摂取され、それを食した人々が様々な中枢神経の病気を発症した公害病のひとつですね。」「 そういう事件がありましたね。」「今の中国が大気汚染や廃液の垂流しを大きく報道されていますが、実は昔の日本そのものなのですよね。別段、水銀計を垂流すわけでもないのですが、水俣病に罹患した患者さん達からすれば、憎き水銀ということになりますよね。これも時代の流れ・変化ということなのでしょう。しかし、長年毎日使ってきた水銀血圧計と さようならしたことは結構感慨深いものがありますね。」

2016.4.27 申年?

「 あ~先生、ここに来ると落ち着きます。今朝、R病院に半年ごとの定期健診に行ってきました。あの病院に行くと、急に気分が落ち着かなくなって苦しくなります。だから、診察受けようとここに来ました。」と3年前に僧帽弁形成術を受けたAさんが午後の診察にやって来ました。「 R病院での診察の結果はどうでしたか? 問題なかったのではないですか?」「 え~、特に問題なく経過良好とのことでした。」「 そうでしょうね。上手く手術をしてもらっていますよ。今、元気なのもR病院の先生方のお蔭ですね。」「 いや、でも先生、R病院に行くと急に息苦しく感じるんです。」「 入院中、何か怖いことがありましたか? トラウマになるようなことがあったのですか?」「 私は申年です。申年は気が強いはずなんですがね!」「 ・・・???」

2016.4.17 熊本地震

また大きな地震が起こりました。ついこの前まで元気に生活をされていた高齢者の方々や、大きな夢を持って勉強されていた大学生。家の下敷きになって命を落すことになるなんて、誰が想像できたでしょうか。病気で悩まれている人の命を救う医療は日々進歩を続け、病気という自然現象にも打ち勝とうと多くの研究者や医療関係者は努力を続けている。南海トラフがどうのこうの、その時の津波がどうのこうの、死者は32万人と想定などと馬鹿みたいにシミュレーションをホームページに載せて得意がっている大馬鹿な役人たち。阪神淡路大震災、東日本大震災そして今回の熊本・大分の震災すら予測もできない地震研究者。おまけにM6.5、震度7の地震が起こっても、その28時間後にM7.3の本震が起こることも予想できず、にもかかわらず得意げにTVに出演して胸を張って解説を加える。なんと時代錯誤の低レベルの分野であることか。反省すらせず、自然現象なので何とも言えないなどと平気で開き直るこの態度に腹が立つ。草津温泉、箱根温泉周辺が大噴火する可能性が高いなどと言っていたが、あれはどうなってしまったのか。もう少し、国家も資金を出して有能な科学者を集め育てる時期に来ていることに気づいているのだろうか。2009年にイタリアで300名ほどの死者を出した大地震で、地震専門家6人が一審判決で禁固6年の有罪判決を受けている。その後、二審で無罪にはなったようだが、検察が上告を検討し再度有罪になる可能性もあるらしい。間接的とはいえ、それくらい人命を扱うプロフェッショナルは覚悟をもって仕事をするべきという判決に思える。車は最早ハンドルを握らずに走行できる時代にきているのに。

2016.3.30 健診、人間ドックで異常! いや正常!!

人間ドックや健診を受けて異常が認められれば医療機関の受診を勧められ、再検査や治療が開始される。しかしながら、異常と指摘されたことが実ははなから異常ではなかったということが結構ある。先日も、「 健診で糖尿病と高脂血症と言われ、再検査を受けるよう言われました。結構悪いのでしょうか? 」と健診結果を持参され診察室で相談されたFさん。「 血糖値が102、HbA1cが5.9% ですか。これは正常値ですね。総コレステロールが210、LDLコレステロールが128ですか。これも正常値ですね。」「 エッ、どういうことですか?」 健診や人間ドックでは日本人間ドック学会と健康保険組合連合会が独自に健康な人から集めた検査値の分布の中央の95%を含む数値範囲を統計的に表わしたもので、なんの指標にもなりません。臨床の場で用いる判断値は、専門学会(動脈硬化学会、高血圧学会、糖尿病学会、循環器病学会など)で疫学的調査をされ、将来心筋梗塞や脳梗塞などを起こしてしまうことが予測され、予防が必要であると判断される検査閾値のことで、簡単に言えば糖尿病や高脂血症は予防を怠ると心筋梗塞や脳梗塞を来す疾患であるため、安全な値まで治療して下げておきましょうというのが臨床判断値です。この値は長年に多大なデーターを集積され検討されてきた値で、人間ドックで使う基準値とは全く比較になりません。「 Fさん、血糖値は110以下、HbA1cは6.2%以下が正常値(判断値)です。総コレステロール値は220以下、LDLコレステロール値は139以下が正常値です。ですから、貴女はともに正常ですから今の時点では心配いりません。」「 そうですか。安心しました。」「 いえいえ、高いお金をかけて健診を受けて、正常なのに異常と言われ、時間とお金を使ってクリニックを受診するなんて大損ですね 。インターネットで調べれば、各々の正常値(臨床判断値)が載っていると思いますので、これからはそれを調べてからクリニックを受診された方が良いですね(笑)」

2016.3.27 高血圧! 一度薬を飲むとやめられないという戯言

いつの時代からなのか、高血圧の薬を一度飲んでしまうと二度とやめられないという戯言(たわごと)が世に出回ってしまっている。先日も半年前に高血圧が気になりクリニックを受診されたYさんが、「 先生、暫くは血圧は安定していたのですが2か月ほど前から150mmHg以上がちょこちょこ出るようになってきました。治療は必要でしょうか?」「血圧手帳を見せてください。」「 確かに140mmHg未満の日は少なく、140~150mmHg以上の日が多くなってきましたね。そろそろ降圧剤の服用が必要かもしれませんね。」「 でも先生、血圧の薬は一度飲んだら一生やめられないのでしょ!?」「・・・?? 」 血圧の変動は、早い人で40歳前後、平均的には60~65歳あたりで高血圧と言われる値(140/90)を超えてくることが多いですね。中には80歳になっても全く血圧が上昇しない人もおられますがこれはごく一部の人達です。生活習慣がどうのこうのと立派な先生方は言われますが、私は加齢現象のひとつと考えています。顔に皺が増えるように、髪の毛の量が減るように血圧は加齢とともに上昇するものです。一部の人を除いて、いつか 血圧が 140/90 を超える時が来て、当然年々歳は増える訳ですから血圧はさらに上昇していくわけで、血圧の薬は必要となり、年々、やめれるどころか増えていくことになります。高い血圧を無症状だからと放置しておくと、脳や心臓をはじめ全身の動脈の病的変化(動脈の狭窄や閉塞、変形、瘤形成など)がおこり、7~10年後あたりに突然救急車の世話になって最早元の体には戻れない状態になってしまう危険性が高いことを覚えておかれるべきでしょう。

2016.3.18 帯状疱疹(へルペス)

高齢になれば免疫力も弱まりかなり多くの人が帯状疱疹(ヘルペス)に罹った経験があると思います。命取りになるような疾患ではないのですが、高齢になってから罹るほどその後の神経痛で悩まされるやっかいな疾患です。先日も「 先生、右の腰あたりがピリピリして何とも言えない痛みが2~3日前から出だしました。昨日整形外科に行ってすぐにMRIを撮ってもらったのですが、加齢による腰痛と言われました。でも、何とも言えない痛みが治まりません。」「 ちょっと、痛むところを見せてくれませんか。」Sさんは服をたくしあげて痛む腰を見せてくれました。「 あ~、なるほど。Sさん、これはヘルペスですね。よ~く見ると3つ小さな丘疹(湿疹)がありますよ。抗ウィルス薬を呑まなければ どんどん増えて火傷のように帯状に湿疹が広がり、痛みも更に酷くなりますね。薬と軟膏を出しますから、早速服用して下さい。1週間呑み切って下さいね。」「 整形外科で腰痛の薬をもらったのですがやめた方がいいですか。」「 まあ、痛み止めですから呑み続けてもらってもいいですが、神経痛にはあまり効果は期待できません。神経痛用の痛み止めをだします。」ヘルペスは、小児期に罹った水疱瘡のウィルスが消滅することなく長年潜伏(冬眠)しており、抵抗力の弱った時にヘルペスとして復活します。左右どちらか片側にしか出ません。また、電線の上にカラスが群れをなして止まるように、このウィルスは神経の上に止まるように広がるので、顔や胸~背や腹~腰など体の半周(片側)に局所的に出ます。あちこちに散ることはありません。何とも言えない、しつこい痛みが2~3日続いた後に湿疹が2~3個出だすのが特徴で、この時に皮膚科か内科を受診し、診断されれば比較的治癒は良好です。しかし、このタイミングを逃して遅れると、ヘルペス後神経痛に悩まされることが多く、ペインクリニックに数か月通院する場合が多くなります。しかし、いろんな病気ありますね。

2016.2.26 ヒートショック

最近、ヒートショックという言葉をよく耳にしませんか。浴室での突然死を指す言葉です。 いつもご夫婦で月1回、クリニックに通院され、年末に胃がんが見つかり、腹腔鏡下で胃がんの治療を受け、年始には元気に復活されたK氏。その10日後に手術を受けた外科の主治医から『 風呂場で心肺停止状態で奥さんに見つけられ、先ほど救急車で搬送されて来られましたが死亡が確認されました 』と電話連絡を受けた。絶句である。高校時代の友人のお父さんも一昨年、風呂場で亡くなられているところを見つけられた。寒い冬には高齢者の風呂場での突然死が非常に多く、年間の交通事故死の2倍ほどにも上ると言われている。暖かい部屋から寒い脱衣所で裸になり、更に寒い洗い場で今度は熱い湯をかぶってそのまま湯船に入るパターンではないかと想像する。血圧の乱高下で脳梗塞や脳出血、心筋梗塞を起こして突然死に至るなどと書かれている記事が多いが、否定はしないが殆どは失神による溺死と考える。暖かい部屋から寒い脱衣所、洗い場で血圧は上昇し、いきなり42℃程度の熱い湯をかぶり体も洗わず先に湯船につかる。今度は一挙に血圧は下がることになる。血圧が 90mmHgを一気に切れば、脳への血流は一気に減って気を失ってしまう。湯船の中で気を失うものだから溺れ死んでしまうことになる。洗い場で気を失ったのであれば溺れることはなく、間もなく気がつき何事もなかったかのように風呂を出ることになるだろう。お金はかかるが脱衣場と浴室には暖房をつけることが高齢者の場合の対策になるだろうし、熱い湯をかぶっていきなり湯船に長くつかることには十分注意することである。長湯の後、脱衣所で大きな立ちくらみを経験する人も多いと思うが、これも血圧が下がっている症状である。サウナで起こる立ちくらみもそうである。

2016.2.3 脚が浮腫む

「お変わりありませんでしたか?」「先生、大変です。最近、両脚が浮腫んでしまいます。足の甲も浮腫んで靴が履けない日もあります。心臓か腎臓が悪いんですか? 娘が言ってましたが。」「確かに心臓がかなり悪くなると浮腫みが出てくる場合もありますが、日常生活が普通にできていて心臓による浮腫みは考えられませんね。腎臓の場合、過剰にたんぱく質が尿に出てしまうような病気では浮腫みがでることがあります。Mさんの場合、先日の健診で尿検査は異常なく、血液検査で腎機能は正常でしたのでこれも心配ありません。安心してください。」「では、なぜ浮腫むのですか?」「連日数名の患者さんが同じような質問をされます。一言でいえば加齢現象、老化現象ですね。」「歳を取ると脚まで浮腫むのですか?」「心臓から送られた酸素の豊富な綺麗な血液が動脈を通って全身の各臓器に流れていくことはご存知と思います。その後は、毛細血管を通って静脈に向かいます。静脈は動脈と正反対に、足の先から重力に逆らって下から上に血液が流れて行きます。静脈の中には弁(静脈弁)が何ヵ所もあって、若いころは元気に下から上にバケツリレーのように血液を心臓へ押し上げています。しかし、歳を取ると(特に、長年立ち仕事やデスクワークをしている場合)、この静脈弁の動きが悪くなり上手く血液を重力に逆らって押し上げることができなくなります。そうすると、重力に従って、心臓より下にある足、脚に血液がうっ滞して静脈が広がり、更に水分が血管から皮下に浸み出していきます。浮腫んだ脚を指で押すと指の型がついてぺこんとへっこむと思います。静脈瘤ができるのもこれが原因です。」「どうしたら浮腫みは取れますか?」「弾力性の強い膝下までのストッキング(弾性ストッキング)を履くことや、時間があれば昼に下肢を胸より高く上げて20~30分横になって休めれば浮腫みは軽快します。しかし、酷い場合は皮膚科(形成外科)で静脈の簡単な手術をすることも結構あります。心臓や腎臓で浮腫む人より圧倒的に多い原因です。」

2016.1.22 皮膚が痒い!

寒くなると毎年皮膚の痒みを訴える高齢の患者さんが増えてくる。日に何件も同じようなことを訴えられる。老人性掻痒症いわゆる皮脂欠乏症である。皮膚にはほど良い脂と汚れが必要であるが、高齢になるとその脂分がかなり減ってしまいカサカサになる。そうなると痒みが出てくるのである。細かなことは皮膚科の先生に相談されるのが良いであろうが、一般患者さんの訴えの多いことには驚く毎日である。痒くなると何かの皮膚病かと思い、入浴時に石鹸で一生懸命こすりつける。かすかな脂分をも洗い流してしまうものだから、痒さは更に酷くなる。精々、お湯で汚れを流す程度にとどめ保湿に努めることが重要である。皮脂欠乏用のクリームや軟膏も複数の製薬メーカーから出ている。今、当院ではヒルドイドローションが最も患者さんから受けが良い。老いてくると、皮膚の痒みも出てくるのですよ。

2016.1.6 自己診療と自家診療

「先生、明けましておめでとうございます。今年の冬は暖かくていいですね!」「おめでとうございます。今年も元気で頑張りましょう!」「この冬はインフルエンザはどうですか?先生が罹ったら薬はどうするのですか?」「この冬は暖かいので例年と違って堺市ではまだ流行していません。当院も2日前にこの冬初めてのインフルエンザA型に罹患した若い女性が受診しました。第1号です。私自身が病気になったときは自分で診察(自己診療)や検査はできません。知り合いの先生に診察を受けて処方してもらわなければなりません。私の家族も同様です。家族を診察(自家診療)して、薬を処方することもできません。尤も全額自己負担での保険外診療は可能ですが、結局3割負担で済む検査や薬代が10割になり、診察料は保険請求ができません。私や家族には何の特典もなく、どちらかといえば損な状況にあります。変な法律(医師法)を国は作りましたね(怒)」

2016.01.03 正月

2016年が始まった。今日はすでに3日目。初詣といえば、住吉大社、大鳥大社、方違神社に行くのが定番で、子供の頃は、親にリンゴアメを買ってもらうのが楽しみだった。近頃は、神頼みすることも少なく精々家の近所の萩原天神に足を延ばす程度である。おみくじは余り信用しないと思いながらも一年間、財布の中に入れてお守り代わりにしている。今年はまだ初詣に行っていない。元来、吉凶を占うためのくじであったものが大凶や中吉、末吉などなんだか判り辛い表示になっている。調べてみると、大吉>吉>中吉>小吉>末吉>平>凶>大凶というのが一般的らしいが、神社によってその順位はまばらなようである。どちらにせよ、長年内容を眺めていると、どれもさほど大した差異はなさそうで、結論から言えば、『 今年一年も、努力して頑張り、健康に注意しなさい 』ということである。さて、今年一年はどんな年になるのであろうか?

2015.12.09 入浴剤

テープかぶれを起こしやすい S さん。「 先生、お風呂に入浴剤を入れようと思って買ってきたのですが、注意書きに皮膚や体質に異常のある場合は医師に相談して下さいと書いてありました。私は大丈夫ですか?」「へ~、そんなことが書いてありましたか。一緒に研究して作ったわけではありませんから知りませんよ」。小生も入浴剤を愛用している。家に帰って入浴剤のパッケージを眺めてみると、これがなかなか面白い。某会社のものでは、「十和田湖」と書いて青森の温泉を想像させ、そこに林檎の香りと書いてある。温泉にリンゴの香り? 更に下の方には「本品は、温泉の湯を再現したものではありません。」とも書いてある。「え~、じゃ温泉名まで表記してあるのに無関係?」折角、全国の温泉巡りが数百円でできると楽しんでいたのに、この表記をみて残念である。裏面には S さんが言っていた通り、皮膚あるいは体質に異常のある場合は医師に相談して下さいと記載されている。さらに、使用中、使用後に皮膚に異常が現れたときは医師にご相談下さいとも書いてある。医者側からすれば、勝手に作って、売って、儲けておきながら、何かあったら医者に行けとは何と身勝手な言い分かと反論したくなる。別段、医者側と入浴剤会社が提携しているわけでもなく、契約をしているわけでもない。小生から言わせれば、「異常が現れた場合は、まず当社にご連絡下さい」じゃないだろうか。まあ、なんでもかんでも何かあったら医者に相談しろみたいな商品が増えましたね。「そんなもん、神様じゃないんだから知りませんよ!あなた達で相談して下さいよ。」というのが本音である。しかし、今日の入浴剤も気持ち良かったな~。明日はどこのにしようかと・・・。

2015.12.04 低体温で免疫力が低い??という真っ赤なウソ!

「先生、私は低体温で元々35℃くらいしかないんです。体温が低いと免疫力が弱くて癌になりやすいと聞きましたが?」「誰に聞きましたか? また適当なテレビ番組でやってましたか?」そもそも体温ってどこの温度なのか一般的に理解されていない。哺乳類は恒温動物であるということは小学校、中学校の理科の教科書にのっている。恒温とは外気の温度に左右されないということで、人間の場合は中枢(体の中)の温度が37℃程度に保たれるようになっている。特に生命に大切な脳や心臓は他の部位を犠牲にしてまでも最後の最後まで37℃に保とうというメカニズムになっている。しかし、体の中心(内部)の温度なんて自己で測定することなど不可能に近く、その代替部として表面から比較的容易に測定できる ワキ(腋窩)、耳、口(舌下)、直腸が代用されるようになっている。要するに、皆さんが測定している体温はワキの温度や口の温度であって、個人差があり、体中心の本来の体温ではないということです。当然、ワキの温度など暑い日と寒い日で異なったり、汗でワキが湿っているだけで温度も変わります。歳を取ると、体からの熱の産生も落ち、体温調節機能も低下するので若い人よりワキの温度は低下します。高齢者の場合、35℃台の方が結構多いことに気づきます。それでも中枢の温度は37℃程度に保たれるようになっています。ということで、体温の低い人の免疫力は低いというのは、真っ赤なウソであるということが理解できると思います。最も、風邪をひいたりインフルエンザにかかったりするとこれらのウィルスは低温で繁殖しやすいため、体は発熱(中枢の温度上昇)して繁殖をくい止めようと反応します。同時に免疫細胞(マクロファージや白血球など)が発熱によって、ウィルスを活発に食べようと頑張ります。ですから、人間の体はちゃんと外敵が侵入したときには体温を上げて免疫を高めています。なにもない時から体温を上げる意味もなければ努力してあげることもできません。自分のワキの温度は各自が日頃から把握しておく必要はありますね。

2015.12.01 ふたりの子供

「寒くなりましたね。お正月は先生、ご家族でどこかへ行かれるのですか?」「いいえ、自宅でのんびりする予定です。」「お子さんは、大きいのですか?」「大学4年生と高校3年生です。」 開業当初は小学2年生と幼稚園に通っていた可愛い女の子たちでしたが、クリニックと一緒に成長し、大きく(??)なりました。デザインの仕事がしたいと頑張る長女と、プロゴルファーを夢見て小学3年生の時からゴルフを始めた次女。高校1年生の時には関西高等学校選手権で優勝し、関西チャンピオンになるもメンタルの厳しいスポーツに苦戦の連続である。来年からプロテストを受験するようであるが医者になるより難しい世界に挑戦する子供たちに、畑違いの私はアドバイスもできず陰でこっそり応援団長を務めている。「 がんばれ!子供たち 」

2015.11.25 大変なこと!?

「先生、1ヶ月もの間、殆ど横になったきりで動けず大変なことになってました。」と診察室に入るや否や元気な一声。85歳になるTさん。長年、大動脈弁狭窄症による心不全の治療で診ている患者さんである。「何が大変なことでしたか?」「先月、布団を押入れに上げようとしたら、そのまま後ろ向きにひっくり返ってしまいました。骨折はなかったようですが、背中などあちこちが痛くて動くのが苦痛で、この1ヶ月間は殆ど寝たきりに近い状況でした。」「Tさん、大変なことが起こったわけではないですね。後ろ向きに尻もちをついてひっくり返ったくらいのことなど大した問題ではありませんよ。しかし、この程度で1ヶ月も寝込むことになったのは、もはや体の方が大変なことになっているわけですね。自分では元気と思っていても、体はかなり大変なことになっているので、これからも無理せず体のかなりの老化を自覚しないといけませんね!」85歳で布団の上げ下げをするなんて、凄い時代になってきましたね。そういえば、小生の84歳になる母親も自転車に乗って毎日元気に買い物に出かけている。半世紀前では想像もできない現実である。脚元に注意して、いつまでもお元気で!

2015.11.18 世界一の平均寿命は薬のおかげ

「最近、薬をのんでいるのに血圧が上がってきました。」「そうですね。気温が下がってきたし、夏のように汗をかかなくなったのでどうしても血圧はあがりますね。」降圧剤服用で、130/70mmHg前後で安定していた血圧も、Hさん本人の申告通り、この日は156/82mmHgと高値を呈していた。「Hさん、もう1錠降圧剤を追加する必要がありますね。」「先生、整形外科や眼科も含めて沢山の薬を呑んでいるので増やすのは嫌です。呑まないといけませんか。」「呑んだ方がいいですね。貴女の年齢は79歳ですね。まあ、人間が自然に生きれる限界を大きく越えていますので、薬でコントロールしないとこの先、生きていけないでしょうね。実際、世界の平均寿命を大きく上回っているわけで、薬があるから長生きできていると思って下さい。」今年のWHOの発表した世界全体の寿命の平均値は71歳。日本は女性87歳、男性80歳、男女で84歳と世界一である。これは日本人が凄いのではなく、国民皆保険により誰でも、特に高齢者が安価で医療を受け、高価な薬を服用できることにあることを理解している人は少ない。それにも関わらず薬を呑みたくないと言うなど、他国の人々から見れば、何と羨ましい贅沢を言っているものだと思われているのである。イギリス81歳、アメリカ79歳、ロシア69歳、インド66歳 …… 最下位のシェラレオネは46歳です。世界の平均値が71歳ということは、75歳以上の後期高齢者なんて世界に存在しないことになります。今の医療のあり方に、特に高齢者の皆さんは感謝するべきと思いますね。決して薬なしでは生きられませんよ!

2015.11.6 カルシウム摂取は骨折予防に効果なし!

「娘にも勧められて毎日牛乳やサプリメントでカルシウムを多く取って、骨を鍛えています。」と自信満々に69歳のYさんは話された。「やっぱり、更に歳を取って骨折して寝たきりになるのは嫌ですからね」と続けた。「確かに高齢になって転倒でもすれば大腿骨を骨折して寝たきりになることが多いですからね」。「先生、カルシウムのサプリメントはいいですね!?」。「Yさん、残念ながら中高齢者には沢山牛乳を摂ったり、カルシウムのサプリを服用しても全体の骨の強化にはごくごく少しではあるが効果があるようですが、大腿骨や上腕骨の骨折予防にはならないという結果が先日、多数の研究の成績をまとめて解析した海外論文で発表されました。」「えっ、駄目なんですか?」「はい、残念ですが転倒による太ももの骨(大腿骨)や腕の骨(上腕骨)の骨折予防には効果がないようですね。逆に、尿路結石や心血管疾患のリスクが上昇するようで、不利益の方が強いようです。健康のためと思って牛乳を飲むのでなく、美味しく飲むのが一番ですね!」。また、これも適当な根拠のないコマーシャルに振り回された結果なのですね。

2015.10.30 ヨーグルトの罪

TVや雑誌のコマーシャルで「ヨーグルトは健康にいい!」なんていうフレーズに良く出くわす。一言でいうと便秘には少しいいかもしれない程度のことである。乳酸菌やビフィズス菌などと言われる善玉菌を増やしたところで「健康にいい!」などとは過言である。アレルギーを抑えるとか免疫を高めるとか適当な検査をして証明したなどとの戯言を食品メーカーは唱えている。医学的には、コレステロール特に悪玉コレステロールを増やし、動脈硬化を進行させ狭心症や心筋梗塞、脳梗塞の一員になるということがわかっている。クリニックにも折角、コレステロールのコントロールの良かった患者さんたちが、おかしなコマーシャルをみて過剰にヨーグルトを摂るようになって悪玉コレステロールが上昇した例が山積である。皆、その悪化した検査結果をみて「明日からヨーグルトをやめます」と口を揃えていた。

2015.10.29 悪玉コレステロールは下げろ!

特にこれといった大きな病気にかかったこともない50歳台のSさん。人間ドックでコレステロールが高いと指摘されクリニックを受診。「 先生、自覚症状は何もないのですが治療は必要ですか?」と。「あなたの場合は悪玉コレステロール(LDLコレステロール)がかなり高いので治療を勧めます。乳製品や魚介類の過剰な摂取はありませんね。」「特に普通です。」ということで内服治療を開始し、1か月半後に血液検査を行った。「見事に下がって、理想的な値になりましたね。」「先生、こんなによく効くんですね!服用を止めたらどうなりますか?」「ほとんどの場合は、逆戻りです。」心臓治療(冠動脈カテーテル治療)を行っている私からすると、狭心症や心筋梗塞で治療をしてきた患者さんの血管には、べっとり(もはやカチカチ)にコレステロールの塊がくっついているのに頻繁に出くわすため、一般の医師に比べて積極的に治療を勧めています。

2015.10.27 風邪の予防って?

「昨日から喉が痛くて風邪をひいてしまいました。しんどいです。」と日頃は元気なHさん。「先生は、風邪をひかないのですか?」「はい、風邪はひきませんね。年中うがいをしています。上手なうがいをすれば風邪なんて罹りませんよ。」「どうするんですか?」「私は特にイソジンなどの消毒液なども使用せず、水道水だけでうがいをしています。朝起きた時、午前の診察が終わった13時半ごろ、午後の診察が終わった18時ごろ、そして帰宅した時の4回は最低しています。手を石鹸で洗ってから一口の水を含んで喉の奥まで入れてオエッと少し涙目になるようなすすぎ方を2~3回します。喉の奥にくっついていたバイキンを吐き出すような感覚です。これでOKです。風邪の季節などで少し喉に違和感があるときは、さらにのど飴を1~2個舐めておけば予防は倍増です。」「へえ~、水だけでいいんですか。そういえば、先生は風邪の季節でも診察室でマスクをしていませんね。」「本来はマスクをした方が良いんでしょうね。しかし、咳を吹っ掛けられても 5~6時間以内に上手なうがいをしておけば予防はできるはずです。」

2015.10.21 人食いバクテリア

またTVで放送されていたのか大げさに診察室に入ってきた Oさん。「 先日、脛のところがチクチクしたので人食いバクテリアかと心配して皮膚科に行ってきました。大丈夫といわれホッとしました」。「また、TVででもやっていたの?」。「すごく進行が早くて脚が腐って死んでしまうんですね!人を食べるなんて怖いですね!」。「???」。「日本でも調査され出して15年ほど経っているようですが、ここ数年に症例数が増えてきたので騒がれ出したのかもしれませんね」。死亡率は3割ぐらい。死亡しなくても手足の切断など大きな障害を残す怖い病気です。「私も死ぬのではと、一人でパニックになっていました(笑)」。元々、扁桃腺炎や丹毒、蜂窩織炎、とびひ(伝染性膿痂疹)などの原因菌(A群溶連菌)で珍しい細菌(バクテリア)でもなく、庭で草いじりをして虫刺されした後に汚れた手で特に爪を立ててかきむしった数日後に脛のあたりを赤く腫らして受診する患者さんが結構います。これは丹毒、蜂窩織炎で皮下組織までの侵襲であり抗生剤を服用すると間もなく治癒します。尤も、丹毒や蜂窩織炎は黄色ブドウ球菌感染の方が多いようですが。このA群溶連菌が筋肉や血液にまで到達すると劇症化して3日程度で死亡してしまうようです。今のところ年間300名ほどの感染者で死亡者は90名ほどですから、昨年の交通事故死亡数が4,100名強に比べると危険性は非常に低い数字と感じませんか。よくもこんな低い数字の疾患をTVで堂々と放送したかと思うとこれを計画したTV局スタッフのレベルの低さが示されている。「Oさん、今まで生きてきて交通事故にあったり、怖い目にあったことはありましたか?」。「いいえ、全くないです」。「なら、心配しなくていいですよ(笑)」

2015.10.9 楽しく笑って死んでいく

「 お蔭さんで今月も調子良かったです。」とニコニコと診察室に入って来られたのは85歳のMさん。定期的な採血検査、心電図検査の結果が、まずまずであることを説明し、聴診と血圧測定を終えたところで、「 先生、最近2kg少々体重が増えました。食欲が旺盛で何を食べても美味しいんです。あきませんね!」と言われた。心筋梗塞の既往があり、当院でも日帰りで二度の心臓カテーテル検査を受け、更に数年前から間質性肺炎で大学病院にて2か月に一度の定期フォローを受けておられる。「 Mさん、何歳まで生きたいですか?」「先生、もう十分ですよ(笑)」「うむ。まあ、これ以上は太らない程度に好きなものを食べればいいじゃないですか。20歳も若ければ、食事制限は厳しく指導するところですがね(笑)」「ありがとうございます。好きなもの食べて、楽しく笑って死んでいきますわ。ハッハッハ。」。ほんと、人生が楽しそうです。陰ながら見守っています。お大事に。

2015.10.5 上には上が… 下には下が…

93歳の I さん。私が勤務医の時から、もう20年ほどの付合いになる。「I さん、20年前は若かったね!お互い歳を取りましたね!」。「 先生、この間からデイサービスに行っているんですけど、私より元気な100歳のお婆さんが居られて、ちょこちょこ説教されてます。この前も、あんたまだ若いのに・・・ってしかられました」って。「上には上がいるものですね!」と大笑い。 野球、陸上、テニス、スキーと運動の好きな私も、今ではゴルフしかできない体になってしまった。ここ数年、70台がちょこちょこ出るようになり、更なるレベルアップにと打球場(打ちっ放し場)にも足を運ぶのだが、案外この打球場は騒がしい。自分より下手な人間を見つけてああだ、こうだと結構でたらめな理論?をぶちまけている教え魔があちこちに出没している。あまりに騒がしい時は練習もほどほどに帰ってくることもしばしば。下には下を探す人達の多いスポーツ?ですね。

2015.9.25 鉄人親爺

「 先生、お蔭さんで毎日楽しくグラウンドゴルフをしています。」といつも元気に明るく診察室に入って来られる Uさん。心筋梗塞の既往があるにもかかわらず、既に85歳になるが自分の趣味を見つけ、毎日が楽しくて仕方がないようだ。学校の校庭や専用のグラウンドでゴルフのパターのようなクラブ1本でグラウンドに立てた旗を目掛けてボールを転がす競技である。誰でもが入りやすい競技であり、最近は男女問わずご高齢の方々に人気を集めている。しかし、更なる鉄人がいる。小生の父親である。間もなく83歳になろうとしているが、毎週本格的なゴルフコースでラウンドをしている。誘いさえあれば、週2回でもラウンドをしている。スコアーも大崩れなく90前後。競技会で既に2回のエイジ・シュートと、2回のホールインワンを達成している。昔はシニアチャンピオンやグランドシニアチャンピオンにもなっているシングルプレーヤーである。死ぬまでゴルフはするという意気込みで、筋力の衰えを嫌い、週2回ジムでトレーニングをしているという鉄人親爺である。当然、膝痛や腰痛を抱えてはいるが、休んでいたらもう二度とゴルフができなくなると頑張る姿に拍手である。

2015.9.21 膝が痛い、腰が痛い

「 先生、膝が痛くて長いこと整形外科に罹ってますが治りません 」、「 腰が痛いので整形外科や整骨院に罹っています。治してくれません。」という悩みが、循環器医である私に連日訴えられる。「 顔のしわと同じですよ。歳を重ねるとしわは増えますよね。努力しても若い時のように元には戻りませんよね。整形外科や整骨院は多少は痛みを和らげてくれますが、病的な異常がない限り、治してはくれません。というか治りませんよ。」と毎回説明。若い時なんて、気にもしなかったことが・・・。そういう私も2年ほど前からかなり酷い首筋の痛みや肩コリに悩まされ、診察の合間に湿布を張ったり、鎮痛剤の軟膏を塗ったりと辛い診療を毎日行っている。「 いつになったら治るのか? 」と早2年が経過。「 もう治らないのか! 」と歳を重ねていく自分を患者さんに置き換えて考える今日この頃である。

2015.9.11 マスコミ広告

開業して15年目になりますが、開業当初は蝿がたかるようにマスコミ関係から電話・FAX・ダイレクトメールが届いた。どこで調べたのか、『 先生のこれまでのご経験などを雑誌に載せませんか 』、『 連日、5分程度のコーナーを設けますので、ラジオ番組に出ませんか 』、『 週刊誌に名医シリーズで連載しますので如何ですか 』・・・まだまだ多数あった。流石に開業当初はクリニックも採算が取れるのかと不安になる医者が多いらしく、広告・宣伝にでもなればと了承するものがいるようだ。うまいこと足元を見ているといったところである。これ皆、かなり高額の金銭を払わなければなりません。ラジオは5分×2週間?ほどで150万円とか言ってました。週刊誌は白黒で1/4ページで30万円ほどと言っていたかな?まあ、お金を払えば名医になれたり、名門クリニックになれてしまうところが怖いですね。この話、当然医療関係だけでないことは推測できるわけで、「 行列ができる・・・店 」、うまいことサクラを並ばせて行列を作っているのですね(笑)。

2015.9.10 テレビ番組

若者たちはインターネットにて様々な分野の情報を手に入れている時代になったが、いまだお年寄りはテレビ番組で情報を入手することが一般的のようである。『 先生、昨日テレビで・・・・・してましたよ。・・・・・が血圧にいいらしいですね! 』などと沢山の患者さんが診察中にお話しされる。正しい情報、納得できる情報は殆どない。そもそもテレビ局の収入はスポンサーや番組取材から得るもので、いくら何百万の人々にテレビを観てもらっても一銭も収入にはならない。ならば、どうするか? スポンサーになってくれる相手の言うことを、真実が否かを調査することもなく大きくうなずいて過大広告する。この手口で今の番組はなりたっている。お酢がいい、ニガリがいい、バナナがいい、トマトがいい、玉ねぎがいいとダイエットを謳う番組が、その都度テレビ局にお金を払ってくれる団体や個人から言われた通りに放送される。全部バランスよく食べるのが一番いいに決まっている。報道の悪質さに加え、受け取る側の冷静さを無くした判断力の甘さが今の世の中であることに非常に残念で情けなく感じる。食べ物でダイエットなんてできませんよ。ダイエットしたいなら、食べないことあるいは食べる量を計画をもって減量することですね。

2015.9.6 血圧計

診察室で血圧を測ると20~30mmHgほど毎回高くなる患者さんがいる。知らず知らずに診察室の雰囲気に緊張してしまうようで、『白衣高血圧』という。しかし、診察室で使用する水銀計と違って、自宅では上腕で測定するタイプや手首で測定するタイプなどがあり、果たしてこれが正しいのかと疑問をもつ患者さんは少ない。診察室で測定する方が低くなるという『白衣高血圧』とは逆のパターンがある。『仮面高血圧』という表現もあるが、大抵は手首の血圧計を使用されている場合が多い。診察室に持参して頂き、3回ずつ測定をして比較すると、手首の血圧計は10~20mmHgほど水銀計より高い値が出る事実に遭遇する。実際、自分で家電に出向いて数種類の電動血圧計で試してみるとやはり手首の血圧計は20mmHgほど高い値がでる。新たに購入する場合は、上腕タイプを勧めるが、既に手首の血圧計を購入した患者さんは診察室で比較してもらい、補正した値で血圧を記録するのが良いと思われる。ただし、中には殆ど差の無い場合もある。

2015.9.1 猛暑!

今年の夏は、お盆が過ぎてから雨が多くなり、過ごしやすくなってきた。去年の夏は9月中旬まで異常な暑さが持続していた。毎年のことではあるが、診察室では「先生、今年の夏は異常に暑いですね!」って患者さんは訴える。しかし、この会話は毎年同じ内容が診察室では繰り返されている。皆さん一年前のことなんて忘れてしまっているのですね。きっと来年のこの時期、「先生、今年の夏は異常に暑いですね!」って聞こえてきそうです(笑)。