2017.7.9 救急車の頻回要請

今年3月、総務省が昨年の救急車の出動件数を 621万82 件の過去最高数と発表しました。その要因として、救急車頻回要請者の本来は救急車を必要としない要請が影響しているようです。全国で年間 10 回以上救急車を要請した数は 2,796 名で延べ要請回数52,799 回に上ると報告されています。 東京都においては年間 30 回以上の頻回要請者を集計すると、なんと年間の平均要請回数は 60 回、多い人で 200 回にも及ぶようです。これらの人たちの多くは、夜間一人でいると息が苦しくなり、死を覚悟して救急車を要請するらしく、救急隊が来ると間もなく症状は落ち着き、救急車も不搬送で引き返す例が多いようです。現場では30~45分ほどの時間を要し、この間に本来の救急患者の搬送要請に支障を来してしまうことになるわけです。精神的疾患を有する人や、高齢者の一人暮らしで孤独を感じている老人が多いようです。解決策、さてどうしたらよいものなのだろうか?

2017.7.20 ヒアリ(火蟻)、セアカゴケグモ、スズメバチ

「 先生、ヒアリ(火蟻)って怖い蟻らしいですね。刺されると死んでしまうこともあるらしいですね。」とMさん。「 小さな虫でも、大きな人間を殺してしまうなんて馬鹿にできないですね。」「 先生、ニュースで毎日騒いでますが刺されたらどうしましょう?」「 Mさん、実は3年ほど前の夏に、私は自宅の庭で夕方セアカゴケグモに咬まれた経験があります。右足の甲が一瞬チカッと痛みが走ったので、何もわからず手で足の甲に乗っている虫を叩き潰してビックリしました。1センチほどの正に背中が赤い蜘蛛でした。すぐに洗い流しで冷やしましたが、痛みは時間とともに酷くなり、細い焼け火箸を足の甲にジューっと刺されているような痛みで、その晩は寝ることさえできず、部屋の中を歩き回っていました。翌日も痛みは持続しましたが、少し軽快していたので診察はできました。」「 えっ、先生がセアカゴケグモに咬まれたんですか。ショックを起こさなかったのですか? 」。今、騒がれているヒアリにしろ、セアカゴケグモにしろ、スズメバチにしろ、その毒素で死ぬわけではありません。まあ、痛くて腫れあがりますが。そんな小さな虫の毒素が人間に入ったって大した量ではありません。怖いのはアナフィラキシーショックという過剰なアレルギー反応です。もっとも、この反応は初回で起こることはなく、一度咬まれてこれらの虫の毒素(抗原)が体内に入ることで IgE 抗体というものが作られ、二度目の毒素(抗原)の侵入で抗原抗体反応が起こってショックを起こす訳です。また、二度目の侵入で必ずショックを起こす訳でもありません。「 私も連日、ヒアリの報道をテレビで見ていますが、説明が不十分な上に、視聴者に対してヒアリを見つけたら冷静に対処するようになんて呼びかけていましたね。騒ぎ立てているのはマスコミの方なのにね 。」 マスコミよ! 知識のない君たちこそ、もっと冷静に視聴者に伝えるべきではないですか!