2016.8.28 水銀血圧計がなくなった!

「 あれ、先生、新しい血圧計を買ったのですか? 」と開口一番、診察室の椅子に座るや否やAさん。「 ええ、そろそろ水銀の血圧計は世の中から消えていくことになりました。」 3年前に水銀に関する水俣条約という外交会議で2020年以降、水銀を使用した製品の製造販売が禁止になりました。実際、現在でも水銀(血圧計、体温計)の廃棄処分が非常に厄介で、その廃棄に支払う費用も高価なものになっています。丁度この時期に、医師会が各医療機関の使用できなくなった水銀計を一括し、安い費用でまとめて廃棄処理の手続きを取ってくれるということで、このタイミングでクリニック内の血圧計を一新しました。「 水俣病って、どんな病気でしたか? 」「1950年代に熊本の水俣湾、1960年代に新潟の阿賀野川流域で工場より垂流された水銀が魚に摂取され、それを食した人々が様々な中枢神経の病気を発症した公害病のひとつですね。」「 そういう事件がありましたね。」「今の中国が大気汚染や廃液の垂流しを大きく報道されていますが、実は昔の日本そのものなのですよね。別段、水銀計を垂流すわけでもないのですが、水俣病に罹患した患者さん達からすれば、憎き水銀ということになりますよね。これも時代の流れ・変化ということなのでしょう。しかし、長年毎日使ってきた水銀血圧計と さようならしたことは結構感慨深いものがありますね。」